2015年09月23日 06:56

独裁とSEALDsについて哲学研究者の内田樹さんが語ったこと。

カテゴリ:転載




哲学研究者の内田樹さんが毎日新聞のインタビューで語ったこと。

転載します。






――各種世論調査では国民の6割が今国会での成立に反対する中、政府・与党は採決を強行しました。

国民が今一番感じているのは、「民主主義には欠点がある」ということでしょう。選挙で両院の多数派を占めれば、次の選挙まで、政権党はどんな政策でも強権的に実行できてしまう。その政策が現時点での民意とどれほど乖離していても、有権者には政権の暴走を止める手立てがない。
私たちが忘れているのは「民主制と独裁は共生可能だ」という事実です。独裁というのは別に「今日から私が独裁者である。逆らうやつは投獄する」というようなわかりやすいかたちを採るものではありません。「独裁」の定義は「法の制定者と法の執行者が同一である」という単純なものです。ですから、「独裁」の反対概念は「民主制」ではなく、「法の制定者と法の執行者が別である」制度すなわち「共和制」です。
現代日本のように、立法府が事実上空洞化し、議員たちが党議拘束をかけられて、官邸が作った法律がほとんど自動的に国会で承認されている状態は、形式的にはいまだ「民主主義的」ではありますが、もう十分に「共和的」ではありません。
先日、首相は委員会で野党委員に向かって「早く質問しろよ」というやじを飛ばしました。この言葉は、首相自身が国会審議を単なる「アリバイ作り」のセレモニーに過ぎないと思っていることをはしなくも露呈しました。法律を決めるのは官邸であり、国会はそれを追認するだけなら、それはもう限りなく「独裁」に近い政体になっているということです。

――他国軍の後方支援など自衛隊の活動は大きく拡大します。

自衛隊員に後方支援の大義名分を納得させることができるでしょうか。大義名分を信じている兵士は強い。自分が何のためにそこにいるのか、その意味を理解している兵士は、「どうしたらいいかわからない」状況でもその中で生き延びるための最適解を選択できる。でも、今の自衛隊員が例えば中東で米国の始めた戦争の後方支援に送られた場合、とっさの判断で最適解を選び取れるでしょうか。私は難しいと思います。そこにいる大義名分がないから。名前も知らない他国の都市を攻撃し、言葉も通じない非戦闘員に銃を向けることがなぜ日本の国防にとって必然性があるのか、現場の隊員は、いくら上官に説明されても、わからないでしょう。戦うことの意味がわからない兵士はとっさの判断に遅れます。敵味方の筋目が見えなくなる。非戦闘員に銃を向けることをためらう。むろん人間としてはその方が「まっとう」なのですけれど、兵士としては殺されるリスクが高い。
自衛隊員に死傷者が出たあと、おそらく日本のメディアは死者を英霊にまつりあげるでしょう。そして、「このように危険な派兵に大義はあったのか?」という常識的な責任論を語るものの声を「死者を犬死にさせる気か」というヒステリックな絶叫が黙らせることになるでしょう。米国のような言論の自由な国でさえ、9・11後はそれまで低迷していたブッシュ大統領の支持率が90%にまで跳ね上がり、政権批判がほとんど不可能になりました。日本なら、その程度では済まないでしょう。「派兵に大義はあったのか?」と問う者は「非国民」、「敗北主義者」と罵られ、石もて追われることになる。私はそう予測します。そして、安倍政権はまさにそういう状況の出現を期待して安保法制の制定を急いだのだと思います。

――学生らの反対活動は全国に波及しました。

特に運動が盛り上がってきたのは、法案が衆院で強行採決された後でした。立憲政治の手続きが踏みにじられたことに対する怒りです。学生たちのスピーチを聞いていると、彼らが心から怒っていることが分かります。学校名と氏名を名乗り、人々の前に生身をさらして、なぜ自分がここに立っているのか、その思いを、自分の言葉で語っている。その切実さに私は胸を打たれます。
久しく「若い人たちは非政治化している」と私も思っていたので、彼らの出現はほんとうに意外でした。徴兵されて、戦場で人を殺したり殺されたりするということは、彼らにとってもまだそれほどリアルに切迫した未来ではないと思います。でも、安倍政権の人権抑圧的な政策がこのまま次々施行されるなら、若者たちにとって耐えがたく息苦しい社会になるということについてははっきりとした身体的な違和感・恐怖感を感じていると思います。

――今回の学生たちの運動は今後の政治にどんな影響を与えるのか。

SEALDsは運動を続けてゆくと思います。彼らは一法案についてだけではなく、民意をくみ上げ、異論との合意形成をはかることができなくなった今の政治システムそのものに対して「NO」と言っているわけです。法律ひとつで終わるはずがない。
ですから、このあと「デモの次は選挙」という方向になると思います。来夏の参院選に向かって、彼らは「安保法案に賛成した議員は全員落とす」という運動に転換していくでしょう。
6月に選挙権年齢を18歳以上に下げる法改正が成立し、参院選から240万人の新有権者が登場します。安倍政権はこの集団の政治性を低く見積もって、「どうせ選挙権を行使しない」「メディアや広告を使えば簡単に自民党支持層に繰り込める」とたかをくくっていたのだと思います。でも、今は後悔しているはずです。というのは、この240万人に対して今一番影響力を持つ組織は、自民党でも民主党でもなく、SEALDsだからです。



(BLOGOS 2015年09月22日 より転載)



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〜 山里センチメンツ が主催するテーマ・コミュニティー・ミーティング#4 〜
【いじめとハラスメントを語り考えるミーティング 2015 足助】を10/30(金)に開催することになりましたのでご案内させていただきます。


このミーティングはお住いの地域に関係なくどなたでも参加できます。

私たちは、いじめとハラスメントの予防をテーマとした地域を越えたひとの集まり(テーマ・コミュニティー)を作りたいと考えているからです。

お気軽にぜひご参加下さいね。
またお知り合いに本情報をシェアいただけたら幸いです!

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◆日時
2015年10月30日 (金曜日) 10:00 ~12:00
(開場/受付 9:00 より)

◆ 場 所
足助病院 南棟 1F 講義室 〒444-2351 愛知県豊田市岩神町仲田 20 番地

◆ 主 催
山里センチメンツ
(代表 安藤 順)

◆ 協 力
三河中山間地域で安心して暮らし続けるための健康ネットワーク研究会
(会長 足助病院院長 早川富博氏)

◆参加費
資料代としておひとり100円

◆参加申し込み
下記のいずれかにメールを送って予約してください。
yamazatosentiments@gmail.com
anti.moral.harassment.project@gmail.com
(担当 安藤)
メールには、参加人数、氏名をご記入ください。
(併せて、テーマに関係したコメントを書いていただいても構いません。)


*第二回目である今回は、豊田市青少年相談センター(パルクとよた)より講師をお招きし、本年4月に発表されたばかりの『豊田市いじめ防止基本方針』を、いじめの予防的アプローチのヒントにすべく皆で学びます。

後半にはクエスチョンタイムと、リラックスムードでのフリーディスカッションタイムも設けます。

なおミーティングの冒頭には大人のハラスメント問題も含めた最新の話題を山里センチメンツスタッフが提供します。



◆スケジュール詳細
9:00
開場、受付開始

10:00〜10:15
◯あいさつ・趣旨説明 / 山里センチメンツ代表 安藤 順

10:15 〜10:45
◯豊田市いじめ防止基本方針についてのおはなし / 青少年相談センター(パルクとよた)指導主事 鈴木京子さん

10:45〜11:00
◯質疑応答

11:00〜11:50
◯座談会〜フリーディスカッション:いじめ予防にあたり私たちに何ができるか、などについて〜

11:50〜12:00
◯まとめ


*本件に関する記事はこちらのブログでもお読みいただけます。

Ameba
http://s.ameblo.jp/a-mh-project/

Yahoo
http://blogs.yahoo.co.jp/anti_moral_harassment_project/

excite
http://amhproject.exblog.jp/

goo
http://blog.goo.ne.jp/a-mh-project/

Boo-log(ローカルブログ)
http://antimoralharassmentproject.boo-log.com

http://yamazatosentiments.boo-log.com

http://hyakuyobako.boo-log.com/

































































































  

Posted by hyakuyobako

2015年09月17日 07:38

【安保法案】SEALDs・奥田愛基さん「夏休みだけの活動じゃない」(発言詳報)

カテゴリ:転載
以下は昨日のハフィントンポスト日本版ニュースより転載、抜粋したものです。


(*ハフィントンポストについて知りたい方はまずこちら↓を。
http://wired.jp/2013/03/29/huffpost-jimmy-mayman/




【安保法案】SEALDs・奥田愛基さん「夏休みだけの活動じゃない」(発言詳報)



参院の安全保障関連法案の質疑が大詰めを迎える中、反対デモを国会前などで展開してきた学生団体「SEALDs」メンバーの奥田愛基さん、本間信和さん、芝田万奈さんが東京の日本外国特派員協会で会見し、外国人記者らの質問に答えた。




奥田さんは「この数カ月で200カ所以上、累計で130万人以上がデモに参加している」と紹介し「若者カルチャーという新しい動きが少しずつできている」と評価した。「スマホやパソコンの普及のおかげで、こういうデザインが誰にでもできるようになった」と背景を説明。コンビニで誰でも同じ印刷物をプリントできる「ネットプリント」の普及で、全国各地で同じデザインのプラカードを使っていること。YouTubeでの安保法案への解説動画など、ソーシャルメディアを見て、各地で若者が立ち上がっていると解説した。
与党は今週中の法案採決を目指しているが、奥田さんは「デモは珍しいものでも何でもなくなった。僕も公聴会に呼ばれて話した。この間、声を上げていることが、単純に政治と分離されたところではなくて、政治に影響を与えている」として、「僕らが関知しないところで動いていることが重要。それは個人が主体的に動いているということを意味するからです。この法案がどうなろうが、主体的に動き始めた人はもう止まらないと思います」と意義を強調した。
「まだまだ台湾か香港の学生のようにできているかわからないですけど、日常の中でできることを出来る範囲でやっているという感覚がすごくあるので、革命を起こそうという気はまったくありません。普通に大学に行って、当たり前のことを当たり前のようにやる、ただそれだけ」とも述べた。
後、メンバーは質問に答えた。概要は以下の通り。


Q 法案成立後、今後の活動はどうなるのか。
奥田:大学生の夏休みだけの活動ではないということを強調したいです。来ている方は20代がいれば30代、40代、50代、70代もいます。日本各地で世代、地域を越えて人々が声を上げています。このつながりが僕はそのまま選挙にも影響を与えると思っています。つまり我々は世代を超えて、ある程度の支持政党、政治思想を超えて、ある一点の目標を掲げて共闘することは可能なのです。そして毎週ほぼすべてとはいいませんが、主要野党政党は来て頂いているので、選挙に協力をして頂ければ、我々としても次の選挙は応援しやすくなるのではないかと思います。現在では賛成議員を落選させようというのが合言葉のように使われています。法案が通るまでの運動とは違う運動になりつつあるのではないかと思います。
Q 安保法案は合憲という解釈もある。議会制民主主義の中でどれだけの議席を取るかが問題だ。どうやって政権交代に持っていこうという戦略があるのか。
奥田:9割以上の憲法学者が違憲だと言っている。元最高裁の判事も言っている。政府は、基本的な論理は変わっていないから合憲だと言っている。ですが、基本的な論理が変わっていなければ、同じ問いを投げかければ同じ答えが返ってくるはず。回答が変わっているわけですから、論理が変わっているとみるのが正しい日本語だと思うわけです。また、世論調査を見れば分かるとおり、この法案に日本国民の多数が納得しているとは思えません。前回の選挙の時に、菅官房長官が言っているとおり、集団的自衛権は争点になっていません。議会制民主主義を支えているのは憲法なので、憲法を大事にして頂きたい。
自民党の総得票数は2割弱しかないわけです。ぜひ、僕も議会制民主主義は大事だと思うので、選挙に行って頂きたいと思うわけです。この法案はそれでも、議会制民主主義の中で通ってしまうでしょう。しかし、議会の中で多数派だから何でもしていいのかは、よく考えて頂きたい。政府関係者は口をそろえて「国民は理解していないかもしれないが、通さなければいけないものは通す」と言っている。「本当にそれでいいんでしょうか。次の選挙にも影響を与えますよ」と、今日も声を上げます。
Q 新たに政党を立ち上げる気はあるのか?
奥田:スペインのポデモス(注:2011年のスペインでの大規模デモを契機に2014年に発足した政党)みたいな政党を見て、ある意味うらやましいと思うこともあるわけです。けど、僕は政党を作る気はまったくありません。まだその段階に来ていないことと、日本ではまた違った形で今の動きが政治に影響を与えるのではないかと思うからです。一つのチョイスとしてはあると思うのですが、2011年以降、政党が乱立するようにできている中で、新しい政党ができたからといって現状が変わるとは思っていないので、それよりも社会の中でできることがあると思っています。まずは政治に対して主体的な人がもっともっと増えるべきだと思っています。
Q 18歳に選挙権が与えられることで、日本社会にどのような影響があるか。
本間:僕は最初にデモに参加したときに、大学の友達から、デモに行くって怖いという印象をずっと聞いてたんですけど、ここ3カ月ぐらいでも大学の友達のリアクションも変わってきているし、安保法制に限っていればデモが世論を動かしているという印象も僕の友達は持っています。政治運動にもっと主体的に参加していくこともありかなと、政治に対するイメージが変わってきているのかなと思っています。デモには制服姿の高校生も見られます。高校生が日本の政治に興味を持っていないという言説はそこまで信憑性がない。言いづらいけど興味は持っているという状況があるのではないかと思います。高等教育の段階で自分の頭で考えたり、上から知識を注入されるだけでなく、自分がどう考えるか討議したり議論したりするのを取り入れていくことが今後重要ではないかなと思っています。
Q ネット上では右翼などから攻撃を受けているようだ。運動の重要性が強まるにつれ、こうした攻撃がデモから学生を遠ざけることはないか?
奥田:ネット上では「在日朝鮮人がやってる」といったものや、かなり個人情報的なこと、髪形が、顔がと攻撃してくる人がかなりいます。そういうカルチャーにおびえてというか、発言すると叩かれたりすることで、何か不利益があるんじゃないかと、なかなか日本では政治参加や発言がしにくかったと思うんです。そういうところで負けていたところもたくさんある。そういうものに負けないカルチャーを作らなければならない。
Q 日本の大学生は政治や社会問題について討論することを好まない。何が変えたのか。安保法制か、過去3年の安倍政権か。
奥田:考えていなかったわけではない。言ってもいいという雰囲気ができてきたということと、憲法とか民主主義という根幹的なところが問題になっている。逆に政治家も学者も我々一般市民も、同じ土俵で議論ができるということではないか。ただ、実際の大学の雰囲気はどうかというと、僕もこういう活動をしている学生とかわらないと思います。普通に遊んで、友達と話して、その中で少しだけ政治のことを話せるということだと思います。
Q 日本の学生は世界一おとなしい、従順だ、非政治的だという評価が長いことありましたが、アラブの春やニューヨークの「ウォール街を占拠せよ」、あるいは香港、台湾など、同世代の動きにインスパイアされたことはありますか?
奥田:もちろん多分にあると思います。「Tell me what democracy looks like」は「ウォール街を占拠せよ」や世界中で使われているものをYouTubeで見ていたし、アラブの春やトルコのゲジ公園を守る運動など、ほとんどネット上で、海外の友達が流していたものを見ていました。彼らが考えていること、思っていることは、デモクラシーがイシューとしてあったと思う。留学生との交流の中で、アジアの中のデモクラシーがどうあるべきかということも話し合ったりした。
Q この法案が通ったら、若い皆さんに将来どういう影響があるか。大学の中でも留学生、中国や韓国の留学生がいると思いますが、彼らはこの法案をどう見ているか。
本間:1点目の質問ですが、自衛隊でなく自衛官になったという部分。自衛官が戦地に派兵されたときにリスクが高まるということは言えるのではないか。また安保法案だけでなく、憲法解釈によって憲法が変えられる前例が作られることで、憲法が軽んじられる風潮がつくられることが大きな問題だと思っています。具体的な状況を想定することは難しいですが、憲法がないがしろにされることが常態化するのは、どのような国家にとっても危険なのではないかと思います。
奥田:中国が脅威だと国会でもかなり言っていて、中国の留学生が「このまま戦争になってしまうのか」と強い危機感を持って話しかけてくれる人もいました。また日本国内のヘイトスピーチが起きている中で、より他国の脅威をあおることが差別的なものにつながらないのかという生活レベルの危機感を訴える人もいました。




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続けて同じくハフィントンポスト日本版ニュースより、中央公聴会でのSEALDs・奥田愛基さんの発言全文を転載します。
NHKはこの中央公聴会をテレビ中継しませんでした。
理解に苦しみますよね。(ーー;)






【安保法案】SEALDs・奥田愛基さん中央公聴会に 「路上に出た人々が社会の空気を変えた」(全文)


安全保障関連法案を審議する参院の特別委員会は9月15日、採決の前提となる中央公聴会を開き、与野党が推薦する6人の公述人が意見を述べた。
このうち、安保法案に反対し、毎週末などに国会前でデモをしている明治学院大学生で学生団体「SEALDs」の奥田愛基さんは「国民投票もせず、解釈で改憲するような、違憲で法的安定性もない、そして国会答弁もきちんとできないような法案を作ることなど、私たちは聞かされていない」と批判し、廃案にすべきと訴えた。また、デモについて「新しい時代はもう始まっています。もう止まらない」と話し「政治家とはどうあるべきなのかを考え、この国の民の意見をきいてください」と話した。
また、蓮舫議員(民主)から「安倍首相に言いたいことは」と質問され「このまま強行採決することは国民を無視する行為だと端的に思います。憲法解釈を変えるのではあれば、国民投票で国民の意思を問うて下さい。このまま通してしまうのは採決以前の問題でしょう。そして、もしよろしければ国会前の抗議を見に来ていただけないでしょうか」、川田龍平議員(維新)の「仮に成立しても終わりではないと思うが、どうするか」に対しては「今の状況は、政治家に任せていられないと声が上がっているんです。主体的に連続的に各地で起こっているわけですよね。主体的に考え、動いている人たちは止まらないと思うんです。今の段階でさえも、問われている当事者だと言い切れますし、主権在民という国家に生きているのであれば、次の選挙でも我々が当事者だと思います」と答えた。
一方で和田正宗議員(次世代)は「昨夜のデモは夜9時を過ぎても、大音量が国会議員会館まで響いた。もちろん国会議員は批判されてしかるべきだが、永田町近辺にも住居がある。平穏なデモや抗議活動ができないものか」と批判した。
奥田さんの意見陳述の全文は以下の通り。
-----
あのー、すいません、こんなことを言うのは非常に申し訳ないのですが、先ほどから寝ている方がたくさんおられるので、もしよろしければ、話を聞いて頂けるようおねがいします。僕も2日間ぐらい緊張して寝られなかったので、僕も帰って早く寝たいと思っているので、よろしくお願いします。
SEALDsとは「自由と民主主義のための学生緊急行動」です。私たちは特定の支持政党を持っていません。無党派の集まりで、保守、革新、改憲、護憲の垣根を越えてつながっています。最初はたった数十人で立憲主義の危機や民主主義の問題を真剣に考え、5月に活動を開始しました。その後、デモや勉強会、街宣活動などを通じて、私たちが考える国のあるべき姿、未来について日本社会に問いかけてきたつもりです。こうした活動を通して、今日、貴重な機会を頂きました。今日私が話したいことは3つあります。
ひとつは、いま、全国各地でどのようなことが起こっているか。人々がこの安保法制に対してどのような声を上げているか。2つめは、この安保法制に関して、現在の国会はまともな運営をしているとはいいがたく、あまりにも説明不足だということです。端的に言って、私たちはこの法案に対して、とうてい納得することができません。3つめは政治家の方々への私からのお願いです。
まず第1にお伝えしたいのが、私たち国民が感じている安保法制への大きな危機感です。この安保法制に対する疑問や反対の声は、現在でも日本中で止みません。つい先日も国会前では10万人を超える人が集まりました。しかしこの行動は何も、しかも東京の国会前で行われているわけではありません。私たちがインターネットや新聞などで調査した結果、日本全国2000カ所以上、数千回を超える抗議が行われています。累計して130万人以上が路上に出て声を上げています。
この私たちが調査したものや、メディアに流れているもの以外にも、たくさんの集会があの街でもこの町でも行われています。まさに全国各地で声が上がり、人々が立ち上がっているのです。また、声を上げなくも疑問に思っている人は、その数十倍もいるでしょう。
強調しておきたいことがあります。それは、私たちを含め、これまで政治的無関心といわれてきた若い世代が動き始めていると言うことです。これは誰かに言われたからとか、どこかの政治団体に所属しているからとか、いわゆる動員的な発想ではありません。私たちはこの国の民主主義、未来について、主体的に一人一人、個人として考え、立ち上がっているのです。
SEALDsとして行動を始めてから、誹謗中傷に近いものを含め、様々な批判的な言葉を投げかけられました。たとえば、騒ぎたいだけだとか、若気の至りだとか、ほかにも一般市民のくせに、おまえは何を一生懸命になっているのか。というものまります。つまりおまえは専門家でもなく、学生なのに、主婦なのに、サラリーマンなのに、フリーターなのに、なぜ声を上げるのかということです。しかし私たちは一人一人、個人として声を上げています。不断の努力なくしてこの国の憲法や民主主義、それらが機能しないことを自覚しているからです。
政治のことは選挙で選ばれた政治家に任せておけばいい。この国にはどこかそのような空気感があったように思います。それに対し、私たちこそがこの国の当事者、つまり主権者であること、私たちが政治について考え、声を上げることは当たり前なのだということ。そう考えています。その当たり前のことを当たり前にするためにこれまでも声を上げてきました。
そして2015年9月現在、今やデモなんてものは珍しいものではありません。路上に出た人々がこの社会の空気を変えていったのです。デモや至るところで行われた集会こそが不断の努力です。そうした行動の積み重ねが、基本的な人権の尊重、平和主義、国民主権といったこの国の憲法の理念を体現するものだと、私は信じています。私は一人一人が思考し、何か正しいのか判断し声を上げることは間違っていないと確信しています。また、それこそが民主主義だと考えています。
安保法制に賛成している議員の方も含め、戦争を好んでしたい人など誰もいないはずです。
私は先日、予科練で特攻隊の通信兵だった方と会ってきました。70年前の夏、あの終戦の日、20歳だった方々は、今では90歳です。ちょうど今の私やSEALDsのメンバーの年齢で戦争を経験し、その後の混乱を生きてきた方々です。そうした世代の方々もこの安保法制に対し、強い危惧を抱かれています。私はその声をしっかり受け止めたいと思います。そして議員の方々もそうした危惧をしっかり受け止めてほしいと思います。
今、これだけ不安や反対の声が広がり、説明不足が叫ばれる中での採決は、そうした思いを軽んじるものではないでしょうか。70年の不戦の誓いを裏切るものではないでしょうか。今の反対のうねりは世代を超えたものです。70年間、この国の平和主義の歩みを、先の大戦で犠牲になった方の思いを引き継ぎ、守りたい、その思いが私たちをつなげています。私は今日、そのうちのたった1人としてここで話をしています。つまり、国会前の巨大な群像の1人として、国会に来ています。
第2に、この法案の審議に関してです。各世論調査の平均値を見たとき、初めから半数近い人は反対していました。そして月を追うごと、反対世論は拡大しています。理解してもらうためにきちんと説明していくと、現政府の方はおっしゃっています。しかし説明した結果、内閣支持率は落ち、反対世論は盛り上がり、この法案への賛成意見は減りました。
選挙のときに集団的自衛権に関してすでに説明したとおっしゃる方々もいます。しかしながら自民党が出している重要政策集では、アベノミクスは26ページ中8ページ近く説明していましたが、それに対して安保法案はたった数行しか書かれていません。昨年の選挙でも、菅官房長官は集団的自衛権は争点ではないと言っています。さらに言えば、選挙の時に国民投票もせず、解釈で改憲するような、違憲で法的安定性もない、そして国会答弁もきちんとできないような法案を作ることなど、私たちは聞かされていません。
私には政府が、法的安定性の説明をすることを途中から放棄してしまったようにも思えます。憲法とは国民の権利であり、それを無視することは国民を無視するのと同義です。また、本当に与党の方々は、この法律が通ったらどのようなことが起きるのか、理解しているのでしょうか。想定しているのでしょうか。先日言っていた答弁とはまったく違う答弁を翌日に平然とし、国会の審議は何度も何度も速記が止まる状況です。このような状況で、いったい国民はどうやったら納得したらいいのでしょうか。
SEALDsは確かに注目を集めていますが、現在の安保法制に対して、この国民的世論を私たちが作り出したのではありません。もしそう考えていられるのでしたら、それは残念ながら過大評価だと思います。私の考えでは、この状況を作り出しているのはまぎれもなく現在の与党の皆さんです。つまり、安保法制に対する国会答弁を見て、首相のテレビでの理解しがたいたとえ話を見て、不安に感じた人が国会前に足を運び、また全国各地で声を上げ始めたのです。
ある金沢の主婦の方がFacebookに書いた国会答弁の文字起こしは、瞬く間に1万人もの人にシェアされました。ただの国会答弁です。普段なら見ないようなその書き起こしをみんなが読みたがりました。なぜなら不安だったからです。
今年の夏までに武力行使の拡大や集団的自衛権の行使容認をなぜしなければならなかったのか。それは人の生き死にに関わる法案で、これまで70年日本が行ってこなかったことでもあります。いったいなぜ11個の法案を2つにまとめて審議したか、その理由もよく分かりません。1つ1つ審議してはだめだったのでしょうか。まったく納得がいきません。結局、説明した結果、しかも国会の審議としては異例の9月末まで伸ばした結果、国民の理解を得られなかったのですから、もうこの議論の結論は出ています。今国会での可決は無理です。廃案にするしかありません。
私は毎週、国会前に立ち、この安保法制に対して抗議活動を行ってきました。そしてたくさんの人に出会ってきました。その中には自分のおじいちゃん、おばあちゃん世代、親世代の人、そして最近では自分の弟や妹のような人たちもいます。たしかに若者は政治的に無関心といわれています。しかしながら現在の政治的状況に対して、どうやって彼らが希望を持つことができるというのでしょうか。関心が持てるというのでしょうか。
彼らがこれから生きて行く世界は、相対的貧困が5人に1人と言われる超格差社会です。親の世代のような経済成長もこれからは期待できないでしょう。今こそ政治の力が必要なのです。どうかこれ以上政治に対して絶望してしまうような仕方で議会を運営するのはやめてください。何も賛成からすべて反対に回れというのではありません。私たちも安全保障上の議論は非常に大切なことを理解しています。その点について異論はありません。しかし、指摘されたこともまともに答えることができない、その態度に強い不信感を抱いているのです。
政治生命を賭けた争いだとおっしゃいますが、政治生命と国民一人一人の生命を比べてはなりません。与野党の皆さん、どうか若者に希望を与えるような政治家でいて下さい。国民の声に耳を傾けて下さい。まさに、義を見てせざるは勇なきなりです。政治のことをまともに考えることが馬鹿らしいことだと思わせないでください。現在の国会の状況を冷静に把握し、今国会での成立を断念することはできないでしょうか。世論の過半数を超える意見は明確に今国会中の成立に反対しているのです。自由と民主主義のために、この国の未来のために、どうかもう一度、考え直してはいただけないでしょうか。
私は単なる学生であり、政治家の先生方に比べ、このような所で話すような立派な人間ではありません。もっと正直に言うと、昨日から寝られないくらい緊張してきました。政治家の政治家の先生方は毎回、このようなプレッシャーに立ち向かっているのだと思うと本当に頭が下がる思いです。1票1票から国民の思いを受け、それを代表し、この国会という場所で毎回答弁をし、最後は投票により法案を審議する。本当に本当に大事なことであり、誰にでもできることではありません。それは、あなたたちにしかできないことなのです。
ではなぜ、私はここで話しているのか。どうしても勇気を振り絞り、ここに来なくてはならないと思ったのか。それには理由があります。参考人としてここに来てもいい人材か分かりませんが、参考にしてほしいことがあります。
一つ、仮にこの法案が強行採決されることがあれば、全国各地でこれまで以上に声が上がるでしょう。連日、国会前は人であふれかえるでしょう。次の選挙にももちろん影響を与えるでしょう。当然、この法案に対する野党の方々の態度も見ています。本当にできることはすべてやったのでしょうか。私たちは決して、今の政治家の発言や態度を忘れません。3連休を挟めば忘れるなんて国民を馬鹿にしないでください。むしろそこからまた始まっていくのです。
新しい時代はもう始まっています。もう止まらない、すでに日常の一部になっているのです。私たちは学び働き、食べて、寝て、そしてまた路上で声を上げます。できる範囲で、できることを、日常の中で。私にとって政治のことを考えるのは仕事ではありません。この国に生きる個人としての不断の、そして当たり前の努力です。私はこの困難な4カ月の中でそのことを実感することができました。それが私にとっての希望です。
最後に私からのお願いです。SEALDsの一員としてではなく、一人の人間としてのお願いです。どうかどうか、政治家の先生たちも、個人でいてください。政治家である前に、派閥に属する前に、グループに属する前に、たった一人の個であってください。自分の信じる正しさに向かい、勇気を出して孤独に思考し判断し、行動してください。
みなさんには一人一人考える力があります。権利があります。政治家になった動機は人それぞれ様々あるでしょうが、どうか政治家とはどうあるべきなのかを考え、この国の民の意見をきいてください。勇気を振り絞り、ある種賭けかもしれない、あなたにしかできない、その貴い行動を取ってください。日本国憲法はそれを保障し、何より日本国に生きる民一人一人、そして私はそのことを支持します。
困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は自由で民主的な社会を望み、この安保法案に反対します。2015年9月15日、奥田愛基。































  
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Posted by hyakuyobako

2015年08月12日 00:06

原発停止に沸くドイツ-原発停止分を自然エネルギーが補完

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今日、自宅のベランダから撮影した空。
雲間に虹のようなものが写りました。
彩雲と呼ばれるものでしょうか?




さて、以下は自然エネルギー財団のホームページの連載コラムより転載したものです。





原発停止に沸くドイツ-原発停止分を自然エネルギーが補完



2015年7月16日 一柳絵美 自然エネルギー財団研究員

6月27日の23時59分、ドイツの脱原発の歩みを更に進める瞬間が訪れた。稼働中の原発の中で最も古いドイツ南部の原発が、33年の時を経て運転停止を迎えたのだ。運転停止を祝うために原発の周りに集結した人々はピクニックを行い、ついに訪れた“その時”を花火で彩った。ドイツでの原発停止は、東京電力福島第一原発事故を受けて、2011年に8基を停止させて以来の出来事だ。脱原発を掲げるドイツでは、2022年末までに残りの原発8基も段階的に停止される。

今回停止したバイエルン州のグラーフェンラインフェルト原発は、約130万kWの加圧水型原子炉(PWR)で、1981年12月の運転開始以来、3,330億kWh以上の電力を生み出してきた。同原発を所有するエーオン(E.ON)社によると、これはバイエルン州全域で必要な電力を4年間供給できる量だという。また、同原発はバイエルン州の電力消費の11.5%を賄う電力源だった ⅰ 。そして、ドイツ政府が決定した予定では、今年末までの運転を認められていた。しかし、年末まで運転するためには新しく核燃料を装荷する必要があり、8,000万ユーロ(約109億円)もの核燃料税費用がかかる。そのためエーオン社は、これ以上の運転は採算が合わないとして、半年前倒しの運転停止に踏み切った。なお、廃炉作業は2030年までには完了する予定で、同社は廃炉費用として12億ユーロ(約1,630億円)を見積もっている ⅱ 。

原発停止をうけ、ドイツの全国新聞ディ・ヴェルトは、「ドイツで脱原発の新たなステージが始まった」と報じている。そして、「グラーフェンラインフェルト原発の停止は、脱原発の前進を示す目に見えるサイン」だというヘンドリクス環境相の見解を紹介している ⅲ 。また、南ドイツ新聞は、原発停止時の現場の様子を詳細に伝えている。原発停止を祝うピクニックには、悪天候にもかかわらず反原発派の市民120人が集まったという。何十年もの間待ち望んでいた原発停止のとき、人々は大声でカウントダウンを行い、互いに抱き合い、手持ち花火を振り、シャンパンで乾杯をした ⅳ 。空には、小ぶりな打ち上げ花火も舞った(動画はこちら)。参加者の一人は、「歴史的な瞬間だった」と語った。当日のピクニックだけではなく、5月31日には原発停止を祝う大きな祭りが地元シュヴァインフルト市の中心部広場で開かれ、約10,000人が参加した ⅴ 。野外コンサートなどが行われた他、同日夜には原発停止のカウントダウンのリハーサルも行われた ⅵ 。

一方、原子力100%の電力を提供するマックスアトムシュトローム社は、原発停止に対する抗議活動を行った。彼らは、原発停止の日の深夜に、原発の冷却塔の壁に「3,000億kWhのCO2排出量の少ない電力をありがとう!」の文字を2時間に渡って投影した。同社は、CO2排出量が少ないと称し、原発による電力を売りにしている。同社のスポークスマンは、今回の原発の停止の結果、CO2排出量が増加するだろうという考えだ。これに対し、南ドイツ新聞は、「こういった計算には、ウラン採鉱の際のCO2排出が考慮されていない。中間貯蔵施設でのリスクは引き続き存在しうるのだから、グラーフェンラインフェルト原発の歴史を成功と評するのは“横暴だ”」と批判している ⅶ 。

ところで、原発停止によって多くの人々が懸念するのは、やはり電力の安定供給の行方だろう。これに対して、送電網の運営を監視する連邦ネットワーク庁は、予定より早いグラーフェンラインフェルト原発の運転停止が、供給安定に及ぼす影響はないだろうという見解を示した ⅷ 。停電が起きることも、電力系統が不安定になることもないという。事実、今回の原発停止のせいで電力供給が不安定になったという報道は見当たらない。

ここで、原発停止による穴を埋めることになるのが、自然エネルギーである。ドイツのシンクタンク、アゴラ・エネルギーヴェンデの所長パトリック・グライヒェン氏は、「自然エネルギーは、原発停止による電力の欠如を完全に補うだけに留まらず、余剰さえ生み出す」と分析する。アゴラ・エネルギーヴェンデによれば、今年上半期のグラーフェンラインフェルト原発での発電量53億kWhに対し、同時期の自然エネルギーによる発電量の増加分(前年上半期比)は107億kWhで、2倍以上だったという ⅸ 。脱原発の新たなステージに突入したドイツで、自然エネルギーの果たす役割がますます重要視されることは間違いない。

ⅰ エーオン社プレスリリース 2015.06.28: „Sicher bis zum letzten Tag: Nach 33 Jahren erfolgreichem Betrieb stellt das Kernkraftwerk Grafenrheinfeld die Stromproduktion ein”
http://www.eon.com/de/presse/pressemitteilungen/pressemitteilungen/2015/6/28/sicher-bis-zum-letzten-tag-nach-33-jahren-erfolgreichem-betrieb-stellt-das-kernkraftwerk-grafenrheinfeld-die-stromproduktion-ein.html
ⅱ バイエルン放送2015.06.28: „Der Meiler ist stillgelegt”
http://www.br.de/nachrichten/unterfranken/inhalt/abschaltung-kkw-grafenrheinfeld-100.html
ⅲ ディ・ヴェルト誌2015.06.28: „Mit Grafenrheinfeld erstmals seit 2011 Akw abgeschaltet“
http://www.welt.de/newsticker/news1/article143217968/Mit-Grafenrheinfeld-erstmals-seit-2011-Akw-abgeschaltet.html
ⅳ 南ドイツ新聞 2015.06.28: „Grafenrheinfeld ist vom Netz“
http://www.sueddeutsche.de/bayern/atom-aus-grafenrheinfeld-ist-vom-netz-1.2541074
ⅴ バイエルン放送2015.06.01: „Großes Abschaltfest: Schweinfurt feiert Abschied vom KKW“
http://www.br.de/nachrichten/unterfranken/inhalt/abschaltfest-grafenrheinfeld-schweinfurt-100.html
ⅵ マイン・ポスト誌 2015.06.01: „Countdown gelungen - zumindest die Generalprobe“
http://www.mainpost.de/regional/schweinfurt/Atomkraftgegner;art495764,8756642
ⅶ 南ドイツ新聞 2015.06.28: 前掲記事
ⅷ ドイツ連邦環境省プレスリリース2015.06.28: „Hendricks: Der Atomausstieg geht voran“
http://www.bmub.bund.de/presse/pressemitteilungen/pm/artikel/hendricks-der-atomausstieg-geht-voran/
ⅸ アゴラ・エネルギーヴェンデ 2015.06: „Zuwachs bei Erneuerbaren Energien macht Grafenrheinfeld-Aus spielend wett“
http://www.agora-energiewende.de/themen/die-energiewende/detailansicht/article/zuwachs-bei-erneuerbaren-energien-macht-grafenrheinfeld-aus-spielend-wett/








  

Posted by hyakuyobako

2015年08月10日 12:30

子どもたちに押しつけてはいけない。

カテゴリ:転載

(常滑の駅前の路上にて、パチリ)



再稼働なんてしてはいけない。
なぜなら子どもたちにこれ以上負の遺産を押しつけてはいけないから。

僕はそう思います。




以下はダイヤモンドオンラインの記事からの転載(抜粋)です。



第7回2015.08.08(土)
電気が足りているのに、
なぜ原発を動かす必要があるのか?
広瀬 隆



「原発」の本来の目的とは何か?

改めて言っておきたい。
 原発とは、「原子力発電」の略語である。

 つまり日本では、「発電する」ことに、原発本来の目的がある。

 電気が足りているのに、なぜ原発を動かす必要があるのか?
 廃絶すればいいではないか。

 寺島実郎などは、

「原発を持っている以上、原発の技術を維持しなければならない。そのためには、再稼働をしてゆく必要がある」

 などと、ド素人の無責任な暴言を吐いている。
 冗談ではない。放射能の危険性を知らない人間は、黙っていろ。

 原発を廃絶する、つまり廃炉のために必要なのは、寺島実郎が言うような現在の原発を運転する高度な技術ではない。廃炉作業とは、原子力発電所の内部設計を知っていればできる、鉄工技術である。

 その解体作業のときに被曝しないように、放射能の危険性を知ることが、廃炉作業の基本の第一である。その第一のことさえ、電力会社の社員がよく知らないことが問題なのだ。

 一方で、原子力発電所をかかえる自治体の首長たちは、「原発がなくなれば、地元経済が崩壊するので、再稼働は必要だ」と考える人間が多い。
 もっともらしく聞こえるが、これもまったく道理に合わない話だ。そう主張する鹿児島県知事・伊藤祐一郎たち自治体の首長たちは、よく聞くがよい。

 原発の地元に、日本政府と電力会社から大金が落ちるようになった、この歴史的な経過は、こうである。

 1974年2月に3法案(電源開発促進税法案、発電用施設周辺地域整備法案、電源開発促進対策特別会計法案)──が閣議決定され、6月3日にこの通称“電源三法”が成立し、発電所の建設促進のため、予定地周辺の市町村に発電所から得た税収を配分する財源捻出手段として、この法が10月1日に施行された。

 これが、悪名高い「電源三法交付金」制度のスタートとなった。
 しかし発電所と言いながら、それは実質すべて、原子力発電所のことであった。

 各地で嫌われている危険なプラントだから、地元に金を与えて黙らせよう、という意図で始まった制度だ。



稼働に浪費してきた額はなんと2兆4000億円!

 時の総理大臣・田中角栄、大蔵大臣・福田赳夫、通産大臣・中曽根康弘がこの電源三法を成立させ、これが原子力発電所のための事実上の消費税導入となり、田中角栄の地元・新潟県の柏崎刈羽《かりわ》原子力発電所の建設向けに、補助金としてばらまかれた。

 法ができた時代は1974年である。つまり全世界にオイルショック(石油危機)が起こった翌年の出来事である。

 それは、アメリカのゼネラル・エレクトリックとウェスティングハウスが、日本に大量に原発を売りこむチャンスとなった時期であった。
 そのアメリカの罠にかかって、ほとんどの原発がこのあとに運転を開始したのが、日本だったのである。

 こうして「電源三法交付金」の“麻薬づけ”になった地元では、原発に経済を依存するようになって、泥沼から抜け出せなくなった。そして大量に原子力発電所が建てられてきた。こうして原子力発電所が建設された13の道県は、被害者なのである。

 前回まで述べてきたように、原子炉から至近の距離で放射能に命をさらしているのは、そこに住む地元住民である。

 一方、電力会社はみな、原子炉からかなり離れた大都会に本店を構えている。その意味では、私のような東京の人間も、罪が重いので、その都会人の立場から言っておくと、フクシマ原発事故による大量被曝を体験した日本では、地元だけでなく、ややはなれた大都会も、共に生き残る手段を考えなければならない。

 もはや「大都会に住んでいれば安全だ」などと考えるほどバカな人間はいない。つまり、“金”が動機で原発の再稼働を強行することは、本来が「電気を生み出すため」の目的とは、まったくかけ離れた、道理に合わないことである。

 もし原発がなくなると地元の経済に悪影響があるなら、「電源三法交付金」は、原発経済から脱却するための資金として、今後もしばらく交付を続けるべきである。

 13の道県の住民に危険性を押しつけて、原発のほとんどの電気を使ってきた大都会人に責任があるのだから、国税を投入して、立地13道県を救済するべきである。ただし年限を10年ぐらいに区切って、原発に代る別の地場産業を生み出すまでの地域再生基金として使わなければならない。

 安倍晋三らがおこなってきた東京オリンピックに向けた放漫支出や、再稼働に熱中して浪費してきた大金2兆4000億円に比べれば、その交付金は、見えないほど小さなものだ。それぐらいのことは、簡単にできることである。原発立地市町村の経済など、日本全土に比べれば、実に小さなものだ。地元経済には、なんの問題もない。

 むしろ、この13の道県の住民に迫っている深刻で、重大な危険性は、別のところにある。原発を運転したあとに出てくる高レベル放射性廃棄物が、日本全土で行き場を失っていることだ。
 この放射性廃棄物とは、フクシマ原発事故で日本人全員が頭からかぶったセシウムやストロンチウムと同じ危険物のことである。



六ヶ所村のプール容量はすでに満杯!
もう行き場がない!

 これまで電力会社と国が、青森県の人間をだまして六ヶ所再処理工場を建設し、そこに13の道県の原発から出る使用済み核燃料と呼ばれる放射性廃棄物のかたまりを持ち込んできた。





だが、この再処理工場の巨大な3000トンの貯蔵プールは、左のグラフのように満杯でパンクしている。したがって、これから再稼働する原発から出る危険物は、もう六ヶ所村に持ってゆけないのである。

 このグラフを説明しておくと、六ヶ所村のプールは、ウラン換算で3000トンの容量を持っていたが、そこに昨年2014年3月までに、全国の原発から合計3376トンの使用済み核燃料を持ち込んできた。

 2006~2008年のあいだ、そのうちわずか425トンだけを、アクティブ試験の“Step1~Step5”と称して強引に試験的に再処理したので、3000トン-(3376トン-425トン)=49トンの残り容量しかない。つまり、ほぼ満杯なのだ。

 どうしてこうなったのだろうか? 
 再処理とは、使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、これとは別にセシウムやストロンチウムなどの危険な放射性廃棄物を取り出し、化学的に分離する作業である。

 その分離された放射性廃棄物は、溶液に溶けた「沸騰しやすい液体」として発生する。そこで、すぐにこれをガラス固化体という固形物にしないと、青森県が超危険な状態になる。

 ところが、この再処理工場を運転する日本原燃は、技術的に無能力なまま、強引に再処理に踏み切ったため、このガラス固化に失敗して、先の見通しがまったく立たない。つまり再処理不能なのである。

 それどころか、すでに六ヶ所再処理工場でかかえている高レベル放射性「廃液」の放射能の量は、気が遠くなる数字だが、520,000,000,000,000,000ベクレルである。

 これは福島第一原発事故で放出されたセシウム137の、原子力安全・保安院が推定した量の35倍に相当するのだ。停電でも起これば水素を発生して、フクシマ原発と同じように爆発する不安定な液体が、フクシマ原発事故35回分である。

 日本全土の原発から使用済み核燃料を受け入れるどころか、厳重な管理を必要とする液体なので、いつ大事故が起こってもおかしくない状態にある。

 茨城県の東海再処理工場も、かつて再処理をしたので、同様の、超危険な高レベル放射性「廃液」が貯蔵されている。こちらのほうが六ヶ所村より多く、福島第一原発事故で放出されたセシウム137を、原子力安全・保安院が推定した量の80倍かかえているのだ。

 不安定な液体が、フクシマ原発事故80回分──上野から常磐線の特急スーパーひたちに乗って、ほんの1時間ちょっとで到着する距離、東海村にあるのだ。

 東日本大震災後の今日まで4年間、ずっと、茨城県を震源とする地震が数えきれないほど起こってきた。首都圏の人間であれば、たびたびの激震を覚えているはずだ。私が二年前に東海村で講演した当日も、大きな揺れの地震があって、地元の人は、震え上がっていた。
東京オリンピックなどを開催している時なのか?


なぜ、『東京が壊滅する日』を
緊急出版したのか

 このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。

 現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。

 東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
 映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。

 1951~57年に計97回行われた米ネバダの大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。

 核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウム以上にタチが悪い。
 3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。

 不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。
 子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。

 最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?

 同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。

 51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。

「世界中の地下人脈」「驚くべき史実と科学的データ」がおしみないタッチで迫ってくる戦後70年の不都合な真実!

 よろしければご一読いただけると幸いです。


目次】
◆はじめに
冷静に予測しておかなければならないことがある
◆第1章
日本人の体内でおそるべきことが進行している!
◆第2章
なぜ、本当の事実が、次々闇に葬り去られるのか?
◆第3章
自然界の地形がどのように被害をもたらすか
◆第4章
世界的なウラン産業の誕生
◆第5章
原爆で巨大な富を独占した地下人脈
◆第6章
産業界のおぞましい人体実験
◆第7章
国連がソ連を取りこみはじめた
◆第8章
巨悪の本丸「IAEA」の正体
◆第9章
日本の原発からどうやって全世界へ原爆材料が流れ出ているのか?



<著者プロフィール>
広瀬 隆(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『日本のゆくえ アジアのゆくえ』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。
































  

Posted by hyakuyobako

2015年08月09日 22:53

強い気持ち

カテゴリ:転載カテゴリ:次世代教育

(奥さん作。)



数年前にある中学校に招かれて、僕らがしている地域貢献のためのヴォランティア活動のことを生徒さんに話をする機会がありました。
教室に行く前に応接間に通された僕は校長先生と挨拶を交わしたのですが、最初に聞かれたのは、「あなたは思想とか、ある?」という質問でした。


僕は軽いショックを受けました。
こういうレヴェルの管理職の下で、教職員の皆さんは働いているのかと。

質問内容以前に人を見下した失礼な言い方が不愉快で、思わず席を立って帰ろうかと思いましたが、生徒さんは時間を割く支度をしてくださっているし、僕に関心を持って学校に呼んでくださった先生に申し訳ないので、それはやめました。





さて、公職選挙法が変わり18歳からの投票が可能となりました。

子供たちへの有権者教育は家庭と学校の両方で行われなければなりません。
なぜならば、もし家庭の保護者が子どもにそういう教育を施せない場合はその子どもにとっては学校だけが頼りになります。
逆もまた然りです。
しかし子どもは1日の大半の時間を学校で過ごします。
教師は理想と現実の板挟みになることが多いと思いますが、保身のみを考えて有権者教育を避けたり安易にお茶を濁したりすることなく、いままで以上に確固たるポリシーと責任を持って有権者教育のスキルを磨き、子どもたちをしっかり指導する必要があるでしょう。

また選挙が18歳からだからといって、高校教師に有権者教育の責務を押しつけるのは間違いで、子どもが小さなうちから教師や保護者を含めた周りの大人が民主主義や人権など大事なことを教えていかねばなりません。
特に、教育基本法が改正されて新「教育長」が教育行政に大きな権限と責任を有することになりましたから、負の側面としては不埒な政権の長や自治体の長より教育現場に子どもたちの未来に暗い影を落としかねない不当な圧力がかかる恐れも増しました。
そんな忌むべき状況に陥ったときでも間違った有権者教育を行わないように私たちは強い気持ちを持たねばなりません。
それは太平洋戦争から得られた教訓のひとつでもあります。



さて、以下は exciteニュース より転載したものです。





18歳以上に選挙権、高校教育現場の混乱と課題
ジジコ 2015年07月06日 18時00分


改正公職選挙法により、18歳以上から選挙権が行使できるように


平成27年6月17日に成立した改正公職選挙法により、18歳以上から選挙権が行使できるようになりました。来年の夏に予定されている参議院選挙が、18歳に選挙権を与える最初の国政選挙となる見込みです。
これを受け、高校生でも18歳になれば選挙権が行使できることから、学校での選挙に関する教育のあり方について議論が巻き起こっています。自民党の文部科学部会は本年7月2日に学校教育のあり方をまとめた提言を了承し、月内にも政府に提言する方針であることが報じられています。提言では、選挙権年齢の引き下げに伴う「学校教育の混乱を防ぐ」ことを目的に、公立学校の教員の政治的行為の制限を強化し、違反には罰則を科す等の教育公務員特例法の改正が盛り込まれました。
法律で上から押さえつければ、現場が萎縮してしまう可能性も
しかし、既に教育公務員特例法で政治的行為の禁止が定められており、さらに罰則を設けて禁止する必要があるのかとの疑問があります。また、法律で上から押さえつければ現場が萎縮してしまい、学生に対して真に必要な教育もできなくなるのではないか、との批判も寄せられています。
確かに、教育現場において特定政党への投票を呼びかけるなど、直接的な政治的行為は当然、禁止されるべきです。しかし、私見では自民党の提言には多くの問題も含まれており、極めて問題のある提言だと考えられます。
「政治的行為」の内容が不明確
第一に、「政治的行為」の内容が不明確であるということです。例えば、憲法改正が選挙での争点となる場合、立憲主義といった現行憲法の規定や理念を話すことも、言いようによっては「政治的行為」となる可能性があります。政治的行為の判断が恣意的になされた場合、政治的行為の禁止を「政治的に」利用される可能性もあるのです。
第二に、罰則をもって対応することは行き過ぎた行為です。前述の禁止される「政治的行為」と、そうでない場合の線引きが曖昧であることと併せ、教育現場の萎縮を招く可能性があるからです。第三に、学生に対する有権者としての教育とも矛盾します。選挙権を行使する前提として多様な考えの存在を認め、その中から自らや国・地域の将来を託すにふさわしい代表者を選ぶのが選挙です。
指導・教育も一人前の大人に対するものでなければならない
今回の法改正は、18歳以上であれば、この点をきちんと判断できるとの考えから行われたものだと思われます。そうであれば、教師がどのような話をしても、生徒はきちんとその是非を判断できるはずでしょう。にもかかわらず、教育現場の混乱や生徒への不当な影響を理由に教育を規制することは、論理矛盾であるといわざるを得ません。
選挙権において18歳以上を一人前の大人と認めた以上、それに対する指導・教育も一人前の大人に対するものでなければなりません。有権者教育は、教育内容を管理・規制するのではなく、多様な意見をバランス良く提示し、自由に議論することを通じて個々の生徒が有権者として主体的に判断できるようにすることこそが必要ではないでしょうか。
(半田 望/弁護士)



*こちらもあわせてお読みください。
18歳への有権者教育のあり方ついて書かれた Newsweek日本版 のコラムです。
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2015/06/18-2_1.php















































  

Posted by hyakuyobako

2015年08月07日 23:37

経済的徴兵 Economic conscription について

カテゴリ:転載



僕らが思うよりも事態はかなり深刻です。






*先月下旬の毎日新聞の記事より転載します。



『政治
特集ワイド:狙われる?貧困層の若者 「経済的徴兵制」への懸念



 絶対、あり得ない−−。安全保障関連法案の議論で「徴兵制復活に道を開くのではないか」と追及を受けると、安倍晋三首相ら政権幹部は必ず断定調で反論する。だが今、経済的な事情から貧困層の若者が自衛官の道を選ばざるを得ない「経済的徴兵制」への懸念が語られ始めている。これを杞憂(きゆう)と言えるのか。【小林祥晃】


 ◇「苦学生求む」自衛隊勤務で学費無料/下位階級は大幅な定員割れ

 「格差社会では、徴兵制は必要ありません。志願兵はいくらでも、経済的徴兵制で集められるのですから」。米国社会に詳しいジャーナリストの堤未果さんは言う。どういうことか。

 貧困から抜け出し、人間らしい生活をするためにやむなく軍に入隊する。そんな実態を、米国では「経済的徴兵制」あるいは「経済的な徴兵」と呼ぶ。堤さんは著書「ルポ 貧困大国アメリカ」で、経済的徴兵制に追い込まれた若者の例を紹介している。

 イリノイ州のある若者は「この国で高卒では未来がない」と、無理をして大学を卒業したが職がなかった。残ったのは奨学金約5万ドル(約620万円)の返済と、在学中の生活費に消えたクレジットカードの借金約2万ドル(約250万円)。アルバイトを掛け持ちして返済に追われたが、そんな生活を変えたいと2005年に軍に入隊した。

 入隊したのは、国防総省が奨学金返済を肩代わりする制度があるためだ。米軍には他にも、除隊後の大学進学費用を支給する高卒者向けの制度もある。「若い入隊者の多くは、こういった学資援助の制度に引かれて志願しますが、入隊期間などの支給条件が厳しく、奨学金や進学資金を満額受給できるのはごく一部」(堤さん)。ちなみに、イリノイ州の彼は入隊直後、イラクに約1年派遣されたが、帰還兵特有の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、働けなくなった。

 世界の兵役拒否制度を調べている京都女子大の市川ひろみ教授(国際関係論・平和研究)によると、米国が徴兵制から志願制に切り替えたのはベトナム戦争から米軍が撤退した1973年。その後、フランスも90年代半ばに、イタリア、ドイツは00年以降、相次ぎ志願制になったという。「徴兵制の廃止や停止は世界的傾向です。無人機の登場に象徴されるように、大勢の兵士が総力戦にかり出された第二次世界大戦期などとは、戦争のあり方が激変したのです」と説明する。

 だが、いくらハイテク兵器が発達しようが、敵地を占領するには地上戦は欠かせない。だから軍隊は若い兵士を一定数確保する。米国の場合、ここで経済的徴兵制が機能する。

 堤さんが解説する。「社会保障費や教育費の削減とともに、経済的困窮者の入隊が増えたのです。特に08年のリーマン・ショック以降、軍は入隊の年齢制限を緩め、若者だけでなく中年の兵士も受け入れています」

 日本でも「格差」が問題になって久しい。大学生の半数は何らかの奨学金を受給し、低賃金や失業による返済滞納も増えている。働いていても生活が苦しい「ワーキングプア」がさらに増えれば、米国のような経済的徴兵制の社会になる恐れはないのか。

 労働問題に詳しい熊沢誠・甲南大名誉教授は「自衛隊に入らないと食べていけないという状況には、すぐにはならないだろう」と断りつつ「生活苦の学生を狙った『ブラックバイト』が問題化していることも考えると、奨学金免除などの露骨な優遇策をとれば、志願者は増えるのではないか」と危惧する。

 実際に貧困と自衛隊を結びつけて考えざるを得ない出来事も起きている。

 今月、インターネット上にある写真が投稿され話題になった。「苦学生求む!」というキャッチコピーの防衛医科大学校の学校案内ちらし。「医師、看護師になりたいけど…お金はない!(中略)こんな人を捜しています」との言葉もある。作製したのは、自衛隊の募集窓口となる神奈川地方協力本部の川崎出張所。川崎市内の高校生らに自衛隊の募集案内などとともに送付したものだ。

 防衛医大は、幹部候補を養成する防衛大学校と同じく学費は無料、入学後は公務員となり給与も出る。ただし卒業後9年間は自衛隊に勤務する義務があり、その間に退職する場合は勤務期間に応じて学費返還(最高で約4600万円)を求められる。ネット上では、この背景を踏まえ「経済的徴兵制そのもの」「恐ろしい」など批判が渦巻いた。

 同出張所は「経済的理由で医師や看護師の夢を諦めている若者に『こんな道もあるよ』と伝えたいと思い、独自に考えた」と説明する。とはいえ、卒業生は医官などとして最前線に派遣される可能性は当然ある。ネット上の批判について、担当者は「考え方の違いでしょう」と話した。

 一方、昨年5月には文部科学省の有識者会議で奨学金返済の滞納が議題に上った際、委員を務めていた経済同友会のある副代表幹事(当時)が無職の滞納者について「警察や消防、自衛隊などでインターンをしてもらったらどうか」と発言し、一部の識者らから「経済的な徴兵に結びつく」との声が出た。実際にそのような検討はされていないが、既に自衛隊には、医歯理工系学部の大学3、4年生と大学院生に年間約65万円を貸与し、一定期間任官すれば返済を免除する「貸費学生」制度がある。熊沢さんはこう話す。「若者の学ぶ機会を広げる奨学金はそもそも無償化すべきだ。国が喜ぶことをすれば返済を免除するという手法は、不当な便益供与で好ましくありません」

 自衛隊の定員は陸、海、空合計で約24万7000人だが、実際の人員は2万人以上少ない約22万6000人(14年度末)。少子化の影響もあり、人材確保は常に課題だ。特に若手が担う下位階級の2士、1士、士長は定員の74%しか確保できていない。また防衛大学校では、集団的自衛権を巡って憲法解釈が変更された昨年度、任官拒否者が前年の10人から25人に急増した。

 堤さんは「経済的な徴兵の素地は、着々と整えられています」と力を込める。それは医療や社会保障などの相次ぐ制度改正だ。「安保法制に目を奪われている間に、派遣法改正議論や介護報酬切り下げ、各地を企業天国にする国家戦略特区など米国型株主至上主義政策が次々に進められています。特に心配なのが、日本にとって最後の防波堤である国民皆保険制度の切り崩し。近著『沈みゆく大国アメリカ』にも書きましたが、国内法改正、国家戦略特区、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の3方向から日本の医療は狙われている。戦争は国内からじわじわと始まるのです」

 市川さんは、米国で対テロ戦争の帰還兵に聞き取り調査した経験からこう話す。「犠牲者が出ても、志願制ゆえに一般の人は『自己責任』と考える。派遣された兵士が百数十万人といっても、人口比では1%未満です。多くの人は帰還兵の心の病の問題には無関心でした」。経済的徴兵で傷ついた人たちは、社会からも置き去りにされるのか。

2015年07月23日』





*続いて昨年秋の東京新聞の記事より転載します。


『 狙われる?貧困層の若者 「経済的徴兵制」への懸念

文科省は2014年8月末、大学生らの経済支援に関する報告書をまとめた。有識者会議メンバーの一人はその検討過程で卒業後に就職できず、奨学金の返還に苦しむ人たちについて「防衛省でインターンシップ(就業体験)をさせたらどうか」と発言した。若年貧困層を兵士の道に追い立てるのは「経済的徴兵制」ではないのか。

発言の主は、文科省の有識者会議「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」メンバーの前原金一経済同友会専務理事。住友生命の常務取締役などを務めた人物だ。

奨学金返還が話題にのぼった5月26日の第11回検討会で、前原氏は「返還の延滞者が無職なのか教えてほしい。放っておいても良い就職はできない。防衛省などに頼み、1年とか2年とかインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいと言っている」と促した。文科省の担当者は「考えてみます」と引き取ったものの、検討会が8月29日に公表した報告書には盛り込まれなかった。

物議を醸す構想だけに、文科省も具体的に検討しなかったようだが、関係者は神経をとがらせる。

大学生や教職員らでつくる「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」(奨学金の会)の岡村稔事務局次長は「奨学金の返還を名目に、自衛官という仕事を斡旋する制度をつくることになりかねない」と危惧する。

米国では実際、軍に入隊すれば国防総省が奨学金の返還額を肩代わりする制度があるという。「そもそも防衛関係の仕事は心身ともに負担が大きい。安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した結果、自衛官の仕事はリスクが格段に高まっている。『命が脅かされる』というのも絵空事ではない」(岡村氏)。

学費のために防衛の仕事に就くルートをつくることは、格差社会の助長にもつながりかねない。

藤本一美・専修大名誉教授(政治学)は、米国の現状について「米軍は志願兵制を取るが、貧困層の若者が兵士になる例が非常に多い」と解説する。
米政府が奨学金返還を肩代わりするのは兵士の確保のためだが、格差社会が進む米国では、この制度に頼らざるを得ない貧困層が多い。結果的に兵士の多くを貧困層が占めている。貧困層にとっては、兵士以外の選択を奪われた「経済的徴兵制」なのだ。

三浦まり・上智大教授(政治学)は「米国の場合、防衛の仕事は貧困層に押しつけるあしき構図が定着してしまったのが大きな問題」と指摘した上で、冒頭の前原氏のような発想を批判する。
「そもそも何かと引き換えに大学で学ぶ機会を与えるという考え方が間違い。若者たちには一人一人、自分の能力を引き出すための学習権がある。学生の経済支援を考えるなら、この権利を安心して行使できるよう大学教育の無償化という方向で考えるべきだ」 』











































































  

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2015年07月26日 20:41

ママたち「渋谷ジャック」街宣デモ「だれの子どもも、ころさせない」

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この記事は弁護士ドットコムニュースより転載したものです。(下の写真も含む)




安保法案反対のママたち「渋谷ジャック」街宣デモ「だれの子どもも、ころさせない」


(ママたちのデモ)




子育て中の母親たちでつくるグループ「安保関連法案に反対するママの会」が7月26日、東京・渋谷駅前で、「戦争立法反対!ママの渋谷ジャック!」と題したデモを開催し、「だれの子どもも、殺させない」と安保法案反対の声をあげた。

「ママの会」の発起人で、3児の母である大学院生の西郷南海子さん(27)は、集まった人たちを前に「人間は誰かに命令されて殺したり殺させたりするために生まれたのではありません。誰かの利益のために使い捨てにされる、そんな世の中は終わりにしましょう」と呼びかけた。

西郷さんがフェイスブックで「ママの会」を立ち上げたのは、今年7月5日。立ち上げからわずか3週間で「いいね!」の数は8000、会の賛同人は17000人を超えた。

この日の街宣活動には、東京、京都、福岡など各地から集まった母親たちがマイクを握り、街宣車の上でスピーチを行った。

神奈川県から参加した小学5年生と2歳半の子どもがいるという母親は、「将来、子どもに『お母さん、あのとき何やってたの?なぜ僕たちを守ってくれなかったの?』と言われないように、安倍政治の異常さを知って、戦争法案を廃案に追い込みましょう」と語った。

その後、同区の宮下公園を出発し、「戦争させない」「ママは戦争しないと決めた」と声をあげながら、街を練り歩いた。


弁護士ドットコムニュース
2015年07月26日 13時26分











































  

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2015年07月19日 20:21

法秩序の連続性が破壊されたのです。

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以下はビデオニュース・ドットコムより転載したものです。
僕らが子どもたちのために何をすべきかを考える際に、大前提として認識しておかねばならないことが書かれているような気がします。

事態は僕らが思うよりも深刻なのです。
退陣を迫らねばなりません。







 『あの日、日本でクーデターが起きていた。そんなことを言われても、ほとんどの人が「何をバカな」と取り合わないかもしれない。しかし、残念ながら紛れもなくあれはクーデターだった。そして、それは現在も進行中である。
 安倍政権は7月15日の衆院の委員会で安全保障関連法案の採決を強行し、翌16日には本会議を通過させた。国会の会期が9月27日まで延長されていることから、仮に参院が法案を議決しなくても、衆院通過から60日後には衆院の3分の2の賛成で法案は可決する。衆院では自民、公明を合わせると3分の2以上の議席を得ていることから、16日の衆院の通過を持って、事実上法案の成立は確実になった。
 これは一見、民主主義の正当な手続きを踏んでいるように見えるが、決してそうではない。今回日本の政治に起きたことは、後世にまで禍根を残すことになるだろうと東京大学法学部教授で憲法学者の石川健治氏は言う。
 その理由として石川氏は今回、安倍政権が、憲法を改正しないまま、長年にわたり憲法によって禁じていると解されてきた集団的自衛権を容認する法解釈と法整備を強行したことによって、「法秩序の連続性が切断された」と考えられるからだと説明する。
 元々安倍政権は憲法9条を改正して、日本も軍隊を持ち戦争のできる「普通の国」にしたいという野望を抱き、それを公言して憚らなかった。しかし、それを実現するために必要な国民の支持がないことがわかると、今度は憲法改正を困難にしている憲法96条を改正し、現行の3分の2から国会の2分の1の賛成で憲法改正を発議できるようにしたいと言い出した。
 憲法の条文を改正する手続きを定める憲法96条は、憲法の中では他のすべての条文よりも高い位置にある。それを壊す行為は憲法そのものを転覆させる行為であり、これを法学的には「革命」と呼ぶが、「革命」が成功するためには国民の支持が必要だ。しかし、日本国民は憲法96条の改正を支持しなかったため、「革命」は失敗に終わった。
 ところが安倍政権は今度は、国民を置き去りにしたまま、政府レベルで法秩序の連続性の破壊を図った。内閣法制局長官を集団的自衛権容認論者にすげ替え、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、政権与党のみで法案を国会を通してしまった。国民から支持を受ける「革命」に対し、国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には「クーデター」と呼ぶのだと、石川氏は言う。
 石川氏は今回日本が失ったものの中で、最も大きかったものは「理屈が突破されたこと」だったという。参考人として呼ばれた3人の憲法学者にことごとく違憲の烙印を押され、憲法学者はもとより世のほとんど学者も、歴代の内閣法制局長官も、こぞってこの集団的自衛権を認めるこの法案は違憲であると主張していた。こうした主張に対する政府・与党側の反論は、集団的自衛権とは何の関係もない砂川事件の最高裁判決で集団的自衛権は禁止されていないという、およそ屁理屈にもならないようなお粗末なものだった。また、今回の法整備によって日本の抑止力が高まるという政府の主張も、根本的な部分に誤謬があることも明らかになった。
 理屈の上では安保法制をめぐる安倍政権の主張は完全に敗北していた。しかし、にもかかわらず論理的に破綻している法案が閣議決定され、7月16日の衆院通過で事実上の成立が決まってしまった。
 理が通らない政策が数の論理によって押し切られてしまったことで、日本が「法秩序」を失ったことの影響は大きい。今後、この法案がもたらすであろう個別の問題を考えただけでも目眩がしそうだが、より高次元で日本の法秩序が破砕されたことの影響は恐らく安全保障分野だけにとどまらないだろう。われわれの多くが、日本という国の政治の頂点で、「理」が「無理」によって押し切られるところを目撃してしまった。これによって戦後われわれが大切に育て、守ってきた「公共」空間が壊されてしまった。
 ここに至るまで安倍政権は、解釈改憲を実現するために内閣法制局長官をすげ替えたほか、アベノミクス実現のための日銀総裁人事にも介入した。また、メディアへの圧力を強める一方で、NHK会長人事にも介入してきた。こうした行為もまた、憲法96条改正の通底するところがある。最終的に法秩序を破壊するような行為を行う上で、まず邪魔になる障害を取り除くために首相の権限をフルに活用する。法律で委ねられた権限を行使しているだけとの見方もあろうが、そもそもそうした権限が内閣に委ねられているのは、そうした個々の機関の暴走を防ぐためであり、首相の権力を私物化するためではない。それを自身の権力や権限の拡大のために利用する行為は、権力の目的外利用であり、権力の濫用に他ならない。
 今回の安保法制の事実上の成立で日本が失ったものとは何なのか。今後その影響はどこで表面化してくるのか。われわれはそれにどう対抗していけばいいのか。知性主義も立憲主義も否定したまま自身の目的達成に向けて突っ走る安倍政権と、われわれはいかに向き合っていけばいいかを、ゲストの石川健治氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。』

http://www.videonews.com/marugeki-talk/745/









  

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2015年07月16日 06:20

美輪明宏さんは語った

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『美輪は、安倍首相が防衛力増強の重要性を語りながら、その一方で国防上の弱点である原発という“爆弾”を維持し続けているという矛盾を鋭く指摘』


数日前のリテラの記事にはこう書いてありました。

美輪というのは、美輪明宏さんのこと。
上記の矛盾をぼくらが見て見ぬふりして良いわけはありません。

以下はその記事からの転載(抜粋)です。




『〜前略〜
ジブリが無料で配布している小冊子「熱風」の8月号で、ある人物が舌鋒鋭く安倍首相をこき下ろしていることは、まだあまり知られていないだろう。

 その人物とは、ジブリ作品にも声優として参加している、あの、美輪明宏だ。「熱風」で始まったジャーナリスト・青木理氏によるインタビュー連載で、第一回のゲストとして登場。「戦後70年」をキーワードにするこの対談のなかで、美輪は安倍首相らにこんな提言をしている。

「(人間は)失敗を繰り返してばかりいる。安倍さんや、石破(茂)さんや、麻生(太郎)さんにしても、みなさん、言い出しっぺの責任を取っていただいて、徴兵制になるならば、まずご自分が、年齢に関係なく、鉄砲を担いで、鉄兜をかぶって、まず第一線に出ていただく。それから、お子さんも、孫も、きょうだいも、それから娘さんのボーイフレンドも、全部一緒に連れ立って第一線に、まず最初に出ていただく。もちろん一兵卒でね」

 それほど戦争がしたいのならば、首相自ら親族も含めてお手本を見せてもらいましょう──記事を通読すれば、これは冗談でも皮肉でもなく、美輪の本気だということがわかる。ある年代より下の人たちからしてみると、あの紅花色の髪色と『オーラの泉』などでの“スピリチュアル”イメージが強いだろうが、今年80歳になった美輪は、長崎で原爆にも被爆している戦争体験者である。青木氏との対談のなかでは、むしろ冷徹なまでの口調で安倍政権の本質をえぐり、安保法制について、自身の戦争体験談を交えながら分析する。

「私は笑ってますね。学習能力がないということでしょう。第二次大戦と同じ。歴史に学んでいないんです。
 日本は、実は戦争ができない国、不可能な国です。大正10(1921)年に暗殺された原敬が言っていたように、日本には何の資源もない。石油も鉄もニッケルも、何も採れない。食料自給率もいまや40%を切って、ほとんど輸入に頼っている」
「とにかく知力が足りないんです。あるのはやまいだれの方の『痴力』。それと情念。それだけ」

 美輪は、太平洋戦争は“横綱に赤ん坊が戦いを挑んだようなもの”として、日本が「知力が足りない」為政者によって、いかに無謀な戦争へと突き進んでいったか強調した上で、安倍首相が「またそれと同じようなことをやろうとしている」と言うのだ。そして、“現在の日本は世界最強のアメリカの手先になろうとしている”と指摘する青木氏に対し、こう返す。

「そんなに甘く考えたら大間違いですよ。だって、アメリカ国債を世界で一番持っているのは日本だったけれど、それが追い抜かれちゃって、中国が世界一になった。最近、中国がちょっと景気減速して日本がまた抜き返したけれど、それでも中国はアメリカ国債を大量に保有しています。アメリカ経済をガタガタにしようと思ったらできる。なのになんでアメリカが日本だけの味方をしてくれます? 甘いですよ」

 さらに、安倍首相が安保法制で法制化させようとする自衛隊による後方支援については、「要するに兵站でしょう」「その兵站を叩くのは戦争の常識です。そこらへんのシビアさというのは、戦時中の人間でないとわかりません。戦争ってそれぐらい卑劣なものですから」と断じて、さらにこう畳み掛けるのだ。

「もうひとつ、日本は(戦争を不可能にする)抑止力を自分たちで作っちゃったんです。原発です。日本の沿岸をなぞるように50数カ所も原発を作っちゃった。今は特攻隊の時代じゃない。ミサイルや無人爆撃機の時代です。原発を狙われたら一巻の終わり」

 美輪は、安倍首相が防衛力増強の重要性を語りながら、その一方で国防上の弱点である原発という“爆弾”を維持し続けているという矛盾を鋭く指摘。そして手厳しい批判を、安倍政権だけでなく、選挙で与党に票を投じた人々にも投げかけるのだ。冒頭に引用した“安倍首相とその家族自らが先に戦地へ行け”という発言は、こう続く。

「それから、それに賛成している選挙民の人たちも、ご自分が支持して選んだんだから、選挙民もまず一家を挙げて、どうぞ出征してくださいって。男の方たちは、ご自分が殺し、殺されにいきたいんでしょ。どうぞ、いらしてください。それだけですよ」

 そこで青木氏が、こうした国民に対して伝えたいことはなにか?と訊いても、「別にないですね。そのときにならなければ人間というのはわからないんです」と冷たく言い放つのだ。


 美輪がここまで国民の責を問うのにはわけがある。たしかに安倍自民党は、先の衆院選でアベノミクスによる経済成長を掲げて議席を守った。しかし美輪は、安倍政権の真の狙いが安保法制であることを早くから見抜き、メディアを使って発信してきた。たとえば衆院選の直前、スポーツニッポンのインタビューではこう語っている。

「国民は経済問題ばかりに目を奪われてはいけません。実はその裏に日本の将来を揺るがしかねない重要な争点が隠されているのです。それは、『集団的自衛権』行使の問題です。(略)きっと首相は、国会で自分の都合よく安保関連法案を通すためには、この時期に選挙をしておくのが最も良いタイミングと判断したのでしょう。(略)ここで再び衆議院で安定多数の議席を確保しておけば、「国民からの信任を得た」と、任期の向こう4年間、首相はやりたい放題好き勝手に、きな臭い「積極的平和主義」とやらを進められると踏んだに違いありません。(略)
 いつの時代も犠牲を強いられるのは、弱い立場の人間なのです。こういう世の中で果たしていいのでしょうか。そういう流れを止めるのも、有権者みなさんの大切な1票に他なりません。よくお考えになり、投票所に足をお運び下さい。日本の未来を良くするも悪くするもあなたの責任なのですから」(「スポニチアネックス」14年12月12日)

 少なくともあのとき、国民は安倍政権の本質を見抜いていなければならなかったのだ。いち早く安倍政権が目指す「戦争のできる国」に抗ってきた美輪明宏だからこそ、忸怩たる思いで「殺し、殺されに行け」と強い言葉を投げかけるのだろう。

 美輪が言うように、「そのとき」になるまで、われわれは過ちに気がつけないのか。現在の安倍政権は、誰がどう見ても、完全に“暴走状態”に突入している。そんななか、われわれにできることはなにか。ひとつは、国民の声で安倍政権の支持率をさらに下げ、解散に追い込み、次なる選挙で自民党にだけは投票しないようにすることだが──。
(小杉みすず)



































  

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2015年07月14日 20:54

宮﨑駿監督が会見「世界がもっと根元の方でみしみしと悪くなっていくようです」

カテゴリ:転載



以下はBLOGOSの記事より転載したものです。



【全文】「世界がもっと根元の方でみしみしと悪くなっていくようです」〜宮﨑駿監督が会見
2015年07月13日 20:50
BLOGOS編集部



『宮﨑駿監督が東京・小金井市のスタジオ・ジブリで会見を行った。会見は、日本外国特派員協会に所属する海外メディアの報道陣限定で行われ、プロデューサーである鈴木敏夫氏の姿も見られた。

宮﨑監督は冒頭「暑い中、ご苦労様です。どんなことでも構いませんので、おっしゃってください」とだけ述べ、「みなさんが疲れ果てるまでやります」と会見の時間をまるごと質疑応答に充てた。カメラへの目線を要求する報道陣に監督は「笑顔でやる会見じゃないでしょう」と苦笑いしながらも応じていた。

本記事は、配信された録画映像を元にテキスト版にしてお送りする。

「安倍首相は、憲法の解釈を変えた偉大な男として歴史に残りたいと思っているんだと思いますが、愚劣なことだと思っています。」

***

ー引退以降、監督はどんな生活を送っていますか?

僕は以前と何も変わっていません。ただ来る時間が30分ほど遅くなり、帰る時間が30分ほど早くなっています。

ー新しいアニメも作っていますか?

これからかかるところです。今、かかりつつあります。

ー「風立ちぬ」では、軍事産業が発達していくことを取り上げて、いろいろ調査もされたと思います。安倍政権の下で兵器の生産・輸出がこれからさらに活発化すると思います。どう思いますか。

非常に残念なことだと思っています。

ー監督は辺野古に関する協力声明を出しました。その後の進展はいかがでしょうか。また、監督に直接のいやがらせなどはありましたか?

沖縄の人の過半数以上が辺野古に基地を作ることに反対しています。まだこれは最終結論は出ていませんが、これから困難な道が続くんんだろうとも思いますが、それを永続的に長く続けるために基金を作って、あらゆることをしていこうというのがファンドの目的です。

(直接のいやがらせは)それはありません。それよりも、こっそり寄って来て「有難う」と言う人が何人もいました。なぜこっそりか…堂々と来れば良いのに(笑)

共同代表になったときに、それまで家内は何も言いませんでしたが、◯をつけて返信する時に、とても喜んでくれました。

ー今週は、日本にとっては重要な一週間です。国会では安保法制の議論が進みまして、16日には採決される見通しです。安倍政権は、日本の安全保障を確保するために必要だと言っていますが、どう思われますか。

話が飛ぶようですが、イラク戦争が起こった時、日本のテレビジョンで、あるイギリスの政治学者がインタビューに答えていました。

その内容をかいつまんでお話しますと、"この戦争の結果、アメリカはアフガニスタンとイラクから自分の牧場に帰ることになるでしょう。そして、世界は一段と混乱するでしょう"と言いました。

今、安倍政権のやっていることは、そのことを考えてどういう方法を取るかだと思います。私は正反対の方が良いと思いますが、つまり軍事力で中国の膨張を止めようとするのは不可能だと思います。

もっと違う方法を考えなければいけない、そのために私たちは平和憲法を作ったんだと思います。その考えは今も変わっていません。

ー来月予定されています70周年談話。これについてはどうお考えでしょうか。どういう内容を盛り込んでいただきたいと思いますか。

その談話は、中国の現在の政治情勢・経済情勢、日本の政治情勢・経済情勢の反映であって、その精神は歴史に学ぶということからずいぶん離れていると思います。ですからあんまり期待していません。

ーよくわからないのは、原発政策について、安倍首相の人気は低い。しかしながら選挙では必ず勝ちます。その理由は日本の左翼、リベラル派があまり強くない現状があるのではないか。監督もクリエイターでインテリなので、どちらかといえばリベラル派に属していると思いますが、なぜ日本では左派が大きな政治的な力を結成できないのだと思いますか。

民主党の最初の総理は、沖縄の基地の問題についても、"日本全体で背負うべきで、沖縄だけに負担させるのは間違いである"、とはっきり言った方です。しかし、たちまち党内の勢力争いで引きずり降ろされた。そして、その後、地震と原発と立て続けに災厄に見舞われて、その混乱の中で、とうとう自民党がずっとやりたくてもやれなかった消費税を民主党が決める羽目になってしまったんです。

この結果、長い政治的な無力感、不信感がこの国にはびこったんだと思います。自民党は過半数の支持を得たのではなくて、多くの人間が投票しなかったことによって天下を獲ったんです。ですから、また変わります。永続的なものではないと思います。

安倍首相は、自分は憲法の解釈を変えた偉大な男として歴史に残りたいと思っているんだと思いますが、愚劣なことだと思っています。

ー一番海外のメディアに伝えたいことはなんでしょうか。

私はこの役目、辺野古基金の共同代表の人間としてここに臨んでおりますから、辺野古の基地の問題、沖縄の人々が基地を撤去したいと思っているそのことをお伝え願えたら、本当に嬉しいと思います。

もうひとつ、先ほどの、日本と中国の問題、共同声明について、私はあの侵略戦争は完全な間違いで、多大な損害を中国の人々に与えたことについて深く反省していると明言しなければならないと思っている人間です。これを政治的な駆け引きとして双方で何かごちゃごちゃやるのは良くない。あらゆる政治と関係なく、この日本は長期に渡る、大陸における愚劣な行為について深く反省しなければいけないと思っています。
それを忘れたがっている人ががいっぱいいることも知っていますが、忘れてはいけないことです。

ー安倍首相は、憲法解釈を変えた偉大な人として歴史に残りたいと思っている?

本人が思っているんです。でも残らないでしょう。

ちょっとお話をさせてください。この紙切れが、私の所に突然届いたんです。共同代表を就任することについての依頼状、それと承諾する・しないに◯を付けろという紙が入っていました。

私は共同代表になるような資格や能力を持っていないので、本当に当惑したんです。ただですね、沖縄の問題というのは、ここにいればなかなか伝わって来ませんが、実は自分の大事な友人に沖縄の人がおりまして、この人が沖縄返還の年、1972年5月1日に返還されましたが、東京の大学に入るために4月28日にパスポートと黄色い伝染病の予防注射の紙を持って東京にやってきた。その時にその人間が感じた、ありとあらゆる感情、非常に抑えたられた感想でしたが、その時の話を思い出すと、私は沖縄の人にものすごく申し訳ないと思っています(ここで監督は涙を浮かべ、声を詰まらせる。)。ですから、この代表を引き受けることにいたしました。
それを忘れたがっている人がいっぱいいることも知っていますが、忘れてはいけないことです。





「アメリカの文化は好きではありません。」
***

ー安倍政権は、基地問題も安保法制も、いずれもアメリカとの関係上、それが必要だという立場を取っていると理解しています。監督は、日米関係について、どのようにお考えでしょうか。このままでいいのか、もっとこうあるべきだ、というのがあれば、教えてください。

それについて、つまり僕はアメリカに非常に大事な友人たちがずいぶんいるんです。極めて誠実な、本当に友情に厚い友人ですが、アメリカの文化は僕は好きではありません。アメリカの生活様式も 日本に多く浸透している色々な生活のやりかたも、基本的に好きじゃない人間なので、そういう色眼鏡だけで見てしまいます。

今、具体的にどういう方針をめぐってどうなのかとここで述べることはできませんが、僕はいつか大量消費文明に終りが来るだろうという予感の中で生きていますので、それでお答えをご勘弁してください。

ー安保連法案も多くの国民はよくわからないと言っていますし、憲法学者のほとんども反対だと言っている。強制採決されようとしているそのやりかたも疑問視されている。そしてまた自民党の一部の会合で沖縄の新聞に対すする発言もありました。少しずつ民主主義が壊れていっているのではないかという人がいます。監督は、表現をする立場としてどうお感じになっていますか。

もともとその程度のレベルのひとたちなんです。それが自分たちが数が多いと思ってのさばって姿を現しただけだと思います。

あまり良い返事じゃないですが(笑)非常に悲しいお答えですが(笑)

ー「風立ちぬ」で、監督の意図としましては平和主義的な考え方を打ち出していたと思いますが、中には軍事的なことを美化していると誤解した受け止め方もあったと思います。

昔、三島由紀夫にフランスのメディアが質問をしたときに、日本人とは"invisibleである"と答えました。監督は、日本人というものは何であると思いますか。

社会の右側の端っこにいる島の人間たちで、平和に暮らせるはずの人間たちなんです。僕はそれだけです(笑)。

この水と緑と、資源と言ったらコメが穫れるくらいです。でも今僕らがやっている生活は、他所からかきあつめてきて、それを使い尽くしていくという、そういう生活です。それは長く続かないでしょう。

日本人であるということは僕にはよくわかりません。わかりませんが、本当の必要な知恵は、世界の隅っこでひそやかにいようというのが一番正しいと僕は思っています。

ー文部科学省が、すべての人文社会科学を廃止する方針を打ち出しました。その方針についてはどう思いますか。

歴史というものに対する感覚がひどく鈍くなっているんだと思います。いま、歴史のある場所にいるんだという感覚が鈍くなっていて、このままずっと続くんだろう、みたいな感じがこの国に蔓延しているんだと思いますね。

第二次大戦の後、日本は冷戦の狭間で、保守と革新というのは、民主主義か社会主義かというそういう冷戦構造のなかで揺れ動いてきたんです。それが冷戦が終了したあと、つまりソ連が崩壊した後、はっきりとした根拠、つまり保守と革新を分ける根拠を失ったんだと思います。その再建がまだ革新の側にできていないんだと思いますよ。

ー原発が近く再稼働される予定です。どうお考えでしょうか。日本は原発を放棄すべきだと思いますか

ええ。こんな地震だらけで火山だらけの国で、原発なんてもってのほかです。

この土地だって、本当にわずかな前に火山の噴火によって出来た土地ですから。私は東京と埼玉の間に住んでいますが、そこの川沿いの小さな土地にいますけど、実は東京湾に津波か高潮が起こった場合、東京都のハザードマップによると、私の家も沈没することになっています。そのスケールたるや、壮絶なスケールなんです。そういうことが起こりうる、いや、起きるだろうと確実に。そういう国にいいるんです。

"ここは津波が来るか"というと、意見の分かれるとこですが、友人たちの多くはそんなことははないだろう言いますが、実際いつかは富士山が爆発して巨大な阿蘇山のようになるんですから、この国は本当にわからないんです。
わからないということを前提に生きないといけないところなんです。そんなとこで原発なんてもってのほかです。

ましてですね、沖縄をなんのために基地にするかと言ったら、それは中国の封じ込めの最前線でしょ。だけどなぜアメリカがグアムに海兵隊を持って行こうとしているかといったら、それは最前線に最強部隊を置くことはできないでしょう。だって、パールハーバーもクラークフィールドも、そこに最強の基地があったから日本海軍が攻撃したんです。必ずそういうことになりますがから。沖縄を拠点にすることは、もはやアメリカの戦略でもよくないことになっていると思います。ベトナム戦争の時とは違うんです。

結局それは、自衛隊が使うことになるでしょう。そう考えると、僕は辺野古に埋め立ての基地を作るのは本当に反対です。本当に。そこは標的を作るようなものです。というのも入っています。

ー先ほど、アメリカの大量消費文化について、あまり好きではないとおっしゃいました。しかしながら、アメリカは監督の映画を大好きですし、非常に成功しています。そうは言っても、ハリウッドでは翻訳などを通しますから、何か本来の意味、監督が打ち出したいという意味が少しでも変えられていると思うことはありますか。

いや、アメリカに紹介するについては、Pixarのジョン・ラセターが非常に友情と責任を持ってやっていますから、彼を本当に信頼しています。本当に一番の親友です。

ついでにちょっとひとつ。僕がイギリスのブリストルにある、アードマン・スタジオのスタッフと交流したときに、彼女たちがサインしてくれとDVDを持ってきました。完全な海賊版でした(笑)。どういう風になっているのかわたしには見当も付きません(笑)



「(若者の右傾化は)スマホを手放してくれれば変わります。」
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ーさきほど引退後の生活はあまり変わっていないとおっしゃっていましたが、今、取り組んでいるクリエイティブなプロジェクトについてお話いただけないでしょうか。将来的には大きなプロジェクトにも関わりたい思っていますか。

いま、ジブリの美術館で短編映画作っていますが、その10作目に関わっています。これは従来のスタッフ少しと、CGの新しいスタッフたちとでやることになっています。プロデューサーは3年かかると言っているんですが、若いスタッフを3年も拘束するのは良くないので(笑)、私は早く終わらせたいと思っているんですが、それだけでも精一杯ではないかと思っているんです。

ー辺野古、そして自衛隊、そしてまた米軍との関係ですが、中国を脅威としてご覧になりますか?そして中国の台頭、軍事拡大に、どう対応すべきだと思いますか。

中国は膨張せざるを得ない内圧を持っています。それをどういう風に時間をかけてかわすか、というのが日本の最大の課題だと思います。
答えになっていませんか(笑)?

ー日本の若者をどう見ていらっしゃいますか。他の国見ていても、若い人には右傾化が出てきています。日本でも若い人の中で田母神氏が大きな人気を得ていますが、一方では多くの若者が政治に無関心と言われています。これは今後どういうふうに発展すると思いますか。若者が政治のプロセスに熱狂的に参加するような時代がくると思いますか。

スマホを手放してくれれば変わります。(会場から笑い)

ー日本国憲法は、やはり占領国が日本に押し付けたと言われています。しかし、今回の動きを見ていると、日本人はこの憲法を非常に深く愛しています。どうして日本人はこんなに強い思いを憲法に持っていると思いますか。

15年に渡る日本の戦争は、惨憺たる経験を日本人にも与えたんです。300万人の死者です。この経験は、多くの、つまり私たちのちょっと上の世代にとっては忘れがたいことです。

平和憲法というのは、それに対する光が差し込むような体験であったんです。これは今の若い日本人にはむしろ通じないくらいの大きな力だったんです。平和憲法というのは。

平和憲法というのは、占領軍が押し付けたというよりも、1928年の国際連盟のきっかけにもなった不戦条約の精神を引き継いでいるもので、決して歴史的に孤立しているものでも、占領軍に押し付けられただけのものでもないと思うんです。

ー日本の教科書は加害に関する部分が少ないと中国やアジアから指摘されています。監督はその加害の部分も大変重く感じている日本の一人ですので、映画に、そういう観点に関して入れたりするというビジョンというのはありますか。または、アジアの人たちと映画を作っていきたい、ということはありますか。

アニメーションは、いろいろな作品が考えられますが、今、私が作ろうとしている作品は、こんな小さな毛虫の話です。指でつつくだけで死んでしまいます。この小さな毛虫が葉っぱにくっいている生活を描くつもりです。それはアニメーションが生命の本質的な部分に迫ったほうが、アニメーションとしては表現しやすいのではないかと思っているからんです。あの…意味わかりますか(笑)?

それで、100年や200年の短い歴史よりももっと長い、何億年にもつながる歴史をアニメーションは描いたほうがいいと思っています。

ー今までのアニメ制作につきまして、監督としてはまた実現していないことはありますか。オタク向けの作品がたくさん出てきていますが、この状況についてどう思いますか

ははは(笑)。

フィルムがなくなって、私たちが使っていたセルもなくなって、絵の具で塗ることもなくなりました。それから背景を描く時にはポスターカラーを使っていましたが、ポスターカラーすら、もう生産は終わるだろうと言われています。筆も、良い筆が手に入りません。それから、紙がこの1、2年で急速に悪くなりました。私はイギリスの「BBケント」というケント紙を、ペンで描くときは愛用していました。とても素晴らしい、僕にとっては宝者のような紙が、すっと線を引くと、インクが滲むようになりました。
インクが使えなくなりました。

何か、世界がもっと根元の方でみしみしと悪くなっていくようです。ですから、アニメーションのことだけ論じてもしょうがないんじゃないかなと思います。

いつでも、どうしてこれが流行るのか、よくわらかないものが流行ります。それもいろいろあっていいんじゃないかと僕は勝手に思っています(笑)。

ー今後基地がなくなって、軍事的プレゼンスが小さくなりましたら、沖縄はどうなると思いますか。不動産業や観光業の発達も考えられますが。

僕は、沖縄は日本と中国が両方仲良くするところになるといいと思います。それが一番ふさわしいです。そして交易する。非常におおらかな心を持っている人たちですから、ちゃんとやっていけると思います。

私は自分の子どもたちが小さかった時に、二度ほど小さな島に行きました。その時の宿のおじさんとおばさんが、どれほど子どもたちに良い印象を与えたか。かくもおおらかかで、優しい人々がいるんだというのが、驚くべきことでした。本当に。

二度目の時は、大人は僕一人で4家族の10人の子どもたちを連れて行きました。みんないつも喧嘩している兄弟が、兄さんや姉さんの言うことをきちんと聞いて、本当に感心な子ともだちだと褒められました。僕は沖縄のことを考えると、いつもその人とたちのことを思い出します。

ー辺野古基金の共同代表として、政府は辺野古に基地を作れないとなると、普天間に基地が固定化される可能性があると脅しとも取れることを言っていますが、宮崎監督としましては、解決策はどのような形で解決されるべきだと思いますか。
普天間の基地は移転しなければいけません。それから辺野古を埋め立てるのはいけません。それで、第一次民主党内閣の鳩山総理は「日本全体で負担しよう」という風に発言したんです。僕はそれがまだ生きていると思っています。

ー戦後70年という節目の年ですが、監督から見ればあの戦争、あれは70年前のあの歴史は一体どういうものだと思いますか。あれからどういう教訓が得られたと思いますか。

あの戦争に至る前どこで止められたんだろうという風によく考えます。そうすると、だんだん遡っていって、ついに日本とロシアの戦争にまで至ります。実はその前に日清戦争というのもありますが、これは結局、東アジアにヨーロッパが来て、大砲で開国を迫ったことによる、"文明の衝突"から始まったんです。でも、それを言っていると、責任が曖昧になります。

ですから、僕はやっぱり、やっていけないことはやっていけいないんだということでしかないんじゃないかと思います。
他国を自国のための犠牲にして侵略することは、絶対やってはならない。どんな理由をくっつけても、どんなに美化しても美化しきれない。その原則だけは絶対守るべきであると思います。侵略してはいけないんです。それで、私たちは島国ですから一番やりやすいはずです。

ーアニメーションの未来について質問させてください。監督は長編に特化してきたわけですが、今、視聴者のニーズに答えてすぐ作品を作れる会社も出てきています。こうしたものがアニメーションの未来像になると思いますか。それとも、これまで関わってきた、制作するのに時間がかかる、ハイリスクながらハイリターンも期待できるような作品が良いと思いますか。

幸運と才能さえあれば、何とかなると思います(笑)』



  

Posted by hyakuyobako