2019年03月22日

『なぜいつもいじめアンケート結果は「いじめがあったか確認できていない」のか』

『なぜいつもいじめアンケート結果は「いじめがあったか確認できていない」のか』




ほんの、少しだけ。。書きます。


既にご存知の方も多いと思いますが、3月12日の夜、豊田市内に住む小6の女の子2人が亡くなりました。

豊田市教育委員会の方が、報道陣の質問に答えた映像や記事が配信されましたが、詳しいことはまだまったくわかっていません。

翌日に、学校の近くに用事があり通りかかったけれど、報道陣が凄かったです。
彼女たちが飛び降りたマンションの周りも、同じくでした。

そんな光景を目にしながら、彼女たちのこと、残された人たちのこと、周りに住む人たちのこと、学校関係者や行政関係者の人たちのこと、とにかくたくさんの人たちの気持ちを想像するのは耐え難く、いまは何か書いたり話したりすることもせず、ひたすら悲しみに沈むのみ、なのです。

さらには、マンションを見てしまったときに、やはりそれはなかなかの高さがあって、その刹那の彼女たちの気持ちを想像してしまうと、胸が張り裂けるのでした。

彼女たちがどうすべきだったとか、彼女たちにどうしてほしかったとか、彼女たちはどう在るべきだったか、というコメントは、とてもできない心境です。

今はただ、そっとしてあげたいだけで、彼女たちにも、ご家族のみなさんにも、何のお願いもありません。

僕は僕にできることを、時間を無駄にせずにするだけ、だと思うようにして、僕は今日を生きました。

子の意見表明を大人がサポートする"子どもアドボカシー"を学ぶ場づくり。

こころへのハラスメントの加害行為者と被害者を生まないために必要な関係性を学ぶ場づくり。

ドキュメンタリー映画『みんなの学校』を再び上映すること。

今はそれぐらいしかやれることは浮かばないのですが。


そんななか、気になることがあります。

以前、豊田市の教育行政へのパブリックコメントを提出する際、ママたちと話をしたら、記名式アンケートの問題点について(子からの訴えがあるからと)指摘される方が多かったので、また実際に子たちからも聞いたので、僕はパブリックコメントに書きました。

『意見③ P22~ 【重点事業1-2 いじめ・不登校対策事業 (3)現状と課題】について
「いじめアンケートが記名式のみで行われているので、本当のことは書けない。」という子ども達の声をたくさん聞いた。
せっかくアンケートをとっても問題を抽出できない恐れがあり、気づきの機会を逸してしまうので、アンケートの専門家の知恵を借りて、子どもが安心して記述できるような良いアンケートにしてほしい。』

回答は
『本市では、平成28年度に、子どもがより安心して記述できるよう、アンケートへ 記名の有無など実施方法や配慮事項を示した「学校生活アンケート」「いじめに関するアンケート」のモデルを作成しました。今後も、いじめの早期発見・早期対応のため、正確な状況把握に努めていきま す。』

というものでした。

http://www.city.toyota.aichi.jp/s/_res/projects/default_project/_page_/001/020/769/iken.pdf

6年生の女の子たちが通っていた学校のアンケートは、どんな体裁だったのでしょう?




以下はリンク https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiishiko/20190316-00118397/ より転載。


『なぜいつもいじめアンケート結果は「いじめがあったか確認できていない」のか

石井志昂
『不登校新聞』編集長 3/16土曜日12:00

3月12日、愛知県豊田市で小学校6年生の女児2名が亡くなりました。女児2階は15階建てのマンションから飛び降りたものとみられています。また、2人の所持品から複数の遺書などが見つかっており、いじめられていることを訴える内容もあったそうです。

 一方、市教委や学校は「いじめがあったか確認できていない」と説明しています。学校では毎年、3回から4回のいじめアンケートを実施しており、女児2名へのいじめは確認できなかったからです。

アンケートが発見方法の主流
 事件の問題点などは、今後より深く解ってくると思いますが、現時点で私が一番、注目したいのは「いじめアンケートの手法」でした。

 ほとんどの学校では、いじめアンケートが実施されています。文科省調査によれば2017年度にいじめアンケートを実施した小中学校は98.0%。年間40万件のいじめのうち52%がアンケートで発見されていました。

 いじめ対策の第一歩である「発見方法」の主流は、アンケート調査なのです。

 今回の事件では、数カ月に1度、つまり頻繁にアンケートをとりました。大きな会社でも、これほど頻繁に意識調査やパワハラ調査をする会社はほとんどありません。それでもなお、いじめが見当たらなかったため、「陰湿ないじめほどアンケートなどでは見つからないのでは」という声も聞きました。

 しかし、このいじめアンケートは「記名式」、つまり自分の名前を書いて回答する方式で行なわれています。いじめ対策を研究している「国立教育政策研究所」は「無記名式」で実施することを強く訴えています。

7割の学校で記名式を採用
 当然記名式より無記名式のほうが真実を書きやすそうに感じます。しかし、現場を見れば7割の小中学校でいじめアンケートは記名式で実施されていました。

 公立小学校の教員(30代女性)にその理由を聞くと「そもそも上司に渡されて実施するので選択権はないが」と前置きをしたうえで、「無記名式だと解決できない」と話してくれました。

 教員によれば、小学校の低学年だと「いじめられている」と訴える子は多くなります。小学1年生や2年生の場合「クラスの半数ほどがいじめを訴えますが、そのほとんどがケンカやからかいの類です」とのこと。担任は「からかい」などを精査して学校に報告するそうです。

 誰が言ったのか、誰がいじめられたのか明らかにならないと「解決できない」というのが教員の主張でした。

深刻ないじめほど見落とされがち
 一方、国立教育政策研究所は、記名式だと「深刻ないじめほど見落としかねない」と指摘しています。

 現在進行形で、なおかつ第三者に相談できない深刻な事例ほど、記名式のアンケートには回答しづらいものです。記名式のアンケートへの回答は「過去に起きたイヤだったこと」が書かれる傾向があり、そのケースに対応しようとしても「手遅れ」だと指摘されています(生徒指導リーフ「いじめアンケート」参照)。

 また、私見を言えば、実態がそのまま報告されるのがアンケート調査です。いじめの訴えを精査するのは教員の仕事ではありません。クラスの半数がいじめを訴える事態をどう考えるのか。これは学校全体の仕事ではないでしょうか。国立教育政策研究所の調査でも、1回の調査でいじめを訴える子は半数程度を推移していました(小学4年生~中学3年生対象)。

 国立教育政策研究所は「いじめの被害者や加害者が誰なのかを知るためにアンケートを実施するという安易な発想を教職員全員が捨てることからいじめの取り組みが始まる」とも指摘しています。

まずはモデルケースの参照を
 国立教育政策研究所が指摘するいじめアンケートなどを取り入れるためには、今までの手法を変えていくこと、その労力が必要になります。それをするには先生の働き方も考えていく必要があります。いくら「国立」の指摘でも、浸透していないのは、現場の負担感がネックなのかもしれません。

 しかし、そうは言っても、深刻な事態ほど見落としがちな記名式アンケートは辞めてみてはどうでしょうか。

 現場の担任先生は「選択権がない」とも言っていました。そこで学校の管理職の方にお願いがあります。国立教育政策研究所のHPには、『生徒指導支援資料6「いじめに取り組む」』という資料があり、そこにはアンケートの質問案やいじめを減らしていく手法の実践例が掲載されています。そこには記名式のデメリットにはじまり、有効な指針が示されています。こちらを参照いただき、どうか事件が起きる前に、いまできることの改善を検討いただきたいと思っています。

実態が判明して解決の糸口が見える
 私は、国立教育政策研究所の調査方式が全国に広がってほしいと思っています。そうなると、いじめの認知件数は今より何倍もの数になるでしょう。「解決できない」と学校が報告するケースも増えるはずです。しかし、それは不幸なことではありません。私が不登校の子やいじめを受けてきた子に取材してきた実態に近いからです。

 いじめ自殺が起きてから「確認できない」と問題になるのではなく、いまの実態と問題点が明らかになること、それが子どもの命が失われる前にあきらかになってほしいのです。そうなれば解決の糸口が見えてくるはずだと思えてなりません。


石井志昂
『不登校新聞』編集長、不登校経験者
1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行なってきた。また、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者に不登校をテーマに取材を重ねてきた。』




*以下は毎日新聞記事より転載。


『豊田市教委「いじめ確認できていない 原因を慎重に調査」 女児2人死亡 

毎日新聞 2019年3月13日 11時07分(最終更新 3月13日 12時04分)

愛知県豊田市陣中町1のマンションの敷地内で、小学6年生の女児2人が死亡したことを受けて豊田市教育委員会は13日、記者会見を開き「現段階でいじめは確認できていない。慎重に調査したい」と話した。
鈴木直樹・学校教育課長によると2人はいずれも12歳で、同じ小学校の別のクラスだった。2人の間柄については「まだ詳しい情報が入っていない」と説明。担任らによると、亡くなった12日は普段通り登校し、変わった様子は見られなかったという。20日に卒業式を控えていた。
 市内の小学校では年3~4回、いじめの有無などを調査するアンケートを行っている。調査結果を改めて確認したが、現時点では2人に関していじめをうかがわせる記載はなかったという。

 2人が通っていた小学校では13日朝、6年生を対象に集会を開き、校長が2人が亡くなった事実を伝えた。心のケアについて説明した上で、何か知っていることがあれば教えてほしいと話したという。他の学年はそれぞれのクラスで担任が説明した。校長は「あまりに突然のことで驚きと悲しみにくれています。ご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げるとともに、学校としてもできる限りの情報収集に努めてまいります」とコメントを出した。
 鈴木課長は「まずは子どもたちの心のケアを優先し、いじめの有無を含め、死亡した原因については慎重に調査したい。方法については遺族の意向をふまえた上で検討する」と述べた。【太田敦子、中島幸男】』




『現場に遺書のメモ? いじめ示唆 豊田・女児2人死亡
毎日新聞 2019年3月13日 11時03分(最終更新 3月13日 11時25分)

12日午後7時ごろ、愛知県豊田市陣中町1のマンションの敷地内で、小学6年生の女児2人が血を流して倒れているのを近くの住民が見つけ、119番した。県警豊田署と豊田市消防本部によると、2人は病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。関係者によると、現場に遺書のようなメモが残されており、いじめを示唆する内容が書かれていたという。

 市教委によると、2人は市内の同じ学校の児童という。同署は飛び降りた可能性もあるとみて、死亡した状況を調べている。現場は名鉄豊田市駅に近い市中心部。【太田敦子】』




『豊田2女児死亡 「これ以上調査望まず」遺族の手紙公表

毎日新聞 2019年3月15日 20時56分(最終更新 3月15日 21時25分)


愛知県豊田市の小学6年の女児2人が自殺したとみられる問題で、豊田市教育委員会は15日、それぞれの父親が連名で市教委などに宛てた自筆の手紙を公表した。「親としてもたいへん心を痛めている」と現在の心境をつづっている。

 市教委によると、手紙は14日夜に小学校で開かれた保護者説明会の後、校長が父親2人から受け取った。そこには「大切に思いますのは残された6年生の子たち、在校生の子たちが、平静を取りもどし、落ち着いた卒業式、明るい中学校生活に向かってくれることです」と記されていた。

さらに「両家の間では話し合いを済ませ、互いに納得し合っております。よってこれ以上子供たちを巻きこむ調査などは望みません」と書かれていた。報道機関に対しても報道の自粛を求めた。
 小学校は死亡翌日の13日から他の児童への聞き取り調査を実施していた。今後の調査について市教委の鈴木直樹学校教育課長は「家族の意見を尊重し判断したい。再発防止策を検討するための情報収集はする」と話した。
 市教委によると、保護者説明会で学校側は、死亡当日に2人のうち1人が「死にたい」などと周囲の児童に漏らし、伝え聞いた担任が様子を尋ねると「あれは軽い気持ちだったので大丈夫」と答えていたことを明らかにした。担任が「悩みがあったら先生に相談してね」と声を掛けると、女児は「はい」と応じた。学校側は「保護者に伝えておけばと悔いが残る」とした。【三浦研吾】』




『愛知の小学校で卒業式 女児2人死亡の学校では「苦しかったら相談を」

毎日新聞 2019年3月20日 13時07分(最終更新 3月20日 13時15分)

愛知県の全てと岐阜、三重両県の一部の公立小学校で20日、卒業式が行われた。名古屋市西区の市立なごや小学校(児童408人)では、多くの保護者らが見守る中、68人の児童が巣立った。

卒業生は川本哲也校長から1人ずつ卒業証書を渡され、壇上で「たくさんの人を助けられる医者になりたい」「将棋のプロ棋士になって7大タイトルを取りたい」などと将来の夢を話した。
 川本校長は「失敗や苦しいことがあっても投げ出さずに頑張り続けられる人であってください。成長と活躍を期待します」と述べた。式後、卒業生は教員や在校生に見送られ、晴れやかに学校を後にした。

 12日に自殺とみられる転落死をした6年生女児2人が通っていた愛知県豊田市の小学校でも20日、卒業式が行われた。市教委によると、式では校長が「悲しみやつらさを乗り越えて明るい中学校生活を送ってほしい。かけがえのない自分の命を大切にしてほしい。困ったら、苦しかったら、一番話しやすい人に相談してほしい」と伝えたという。【川瀬慎一朗、中島幸男】』


















































































Posted by hyakuyobako at 01:15